〈絵本さんぽ〉神保町 ブックハウスカフェ 1万冊に囲まれ親子でゆったりお食事を 夜はお酒と絵本を楽しめるバーに
【新連載 絵本さんぽ】魅力的な絵本の店を記者が訪ね、紹介します。
いろんな人が集まる「交差点」に
多くの書店が並ぶ東京・神保町。靖国通りに面したれんが造りの重厚なビルに子どもの本の専門店「ブックハウスカフェ」がある。
蔵書は約1万冊。壁一面にさまざまな絵本や児童書が並ぶ。店の真ん中には、カフェスペースも。週末に訪ねると、店内はにぎわい、カフェでは笑顔で食事を楽しむ親子たちの姿。店の奥には、ギャラリーもあり、絵本作家の講演会やイベントが数多く開かれている。
店長の茅野由紀さんは、2005年にオープンした前身の「ブックハウス神保町」からのスタッフ。2017年には「ブックハウスカフェ」として再スタート。子どもも大人もより自由に過ごしてもらおうと、カフェを併設した。
「子どもはいつどこで喉が渇くか、おなかがすくかわからないから必須だった」と茅野さん。「年齢、性別、国籍、宗教、属性、言語を問わず、いろんな人が集い、すれ違う交差点のような絵本屋さんを目指していきたい」と意気込む。
0歳から100歳まで、本を楽しめる
店の特徴の一つは、夜8時からオープンするバー。書店の裏に入り口があり、仕事帰りなどの大人たちが訪れる。
子どもが主役の絵本の店は、ビジネスマンなどからは入りにくいという声もあった。バーを担当するオーナーの今本義子さんは「バーができたことで、0歳から100歳まで本を楽しんでもらいたいというお店のコンセプトに近づけた」とほほ笑む。
普段絵本と接点のない人が、リクエストに応じて行われる読み聞かせなどで絵本と出合ったり、子どもに買って帰ったりするのだそう。絵本に囲まれてお酒を飲むという、ここにしかない空間が、好評を博している。
ブックハウスカフェ
住所:東京都千代田区神田神保町2の5 北沢ビル1階 (東京メトロ神保町駅 A1出口から徒歩1分)
電話:03(6261)6177(本・イベント)/03(6910)0819(カフェ・バー)
定休日なし(年末年始休み)、午前11時~午後6時(カフェ・平日は5時半まで)、バーは平日の午後8~11時
茅野店長のおすすめ絵本
◇「ブルッキーのひつじ」M・B・ゴフスタイン 作、谷川俊太郎 訳(ジー・シー・プレス 1210円)
小さな女の子ブルッキーはひつじを飼っている。ブルッキーとひつじのユーモアなやりとりが、愛することの素晴らしさを表す物語。
おすすめポイント
絵本ならではの余白が、グッとくる。描かれすぎていないけれど、気持ちが伝わってきます。親子、恋人、親友、大きいものから小さいものへの愛でもあります。余白作りが上手いゴフスタインが、普遍的な究極の愛を落とし込んだ手法が素晴らしいです。モノクロの絵だけど、色が飛び込んできて、私にはカラフルな絵本に見えて仕方がないのです。子どもが大きくなって、この本が家にあったら自分たちが親から愛されていることを実感してもらえるのではないかとも思う、私の大好きな1冊です。
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