オルソって何? 寝る時にコンタクト着けて近視を抑制
特殊なレンズで角膜の形を変える
近視は、眼軸長と呼ばれる角膜から網膜までの長さが伸びるなどし、網膜上で焦点が合わずに視界がぼやける状態。オルソは中央部分が平らな特殊なコンタクトレンズで、装着するとレンズ下の角膜上皮に圧力がかかり、角膜の形を変えることで焦点が合うように矯正する。夜間に装着し、寝ている間に視力を矯正するのが一般的な使い方だ。
「昼間は裸眼で過ごせるので、ドッジボールやサッカーなど眼鏡では危険なスポーツも不安なくできる」。オルソに詳しいセントラルアイクリニック(名古屋市中村区)の渥美一成院長(63)は話す。
ただ、角膜はそのままにしておくと数日で元の形に戻ってしまうため、回復した視力を保つには毎晩、装着を続ける必要がある。軽度の近視であれば、多くの患者が一週間で裸眼1.0ほどに回復するという。
日本は2009年に承認 定期検診が義務
オルソは米国で考案され、日本では2009年、厚生労働省が承認した。保険適用外の自由診療で、両目の場合は最初の1年間でレンズ代を含めて10万~30万円ほどかかる。
普通のハードコンタクトレンズに比べ酸素透過性が高く、レンズが汚れたり傷ついたりしやすいというデメリットも。寝ている時に装着するため、毎日のケアを怠ると細菌が増殖して角膜感染症を引き起こすリスクもある。普通のコンタクトレンズ以上に清潔に保つ必要があり、日本コンタクトレンズ学会はガイドラインで、使用する場合は3カ月ごとの定期検診を義務付けている。
一方で、子どもの場合、オルソの装着で近視の進行を抑える効果が期待できるとの研究も。京都府立医科大などがオルソ治療を2年間受けた小学生24人を調べたところ、オルソを装着しない場合よりも、近視につながる眼軸長の伸びが少ないとの結果が出た。「中央だけにピントを合わせる眼鏡やコンタクトレンズと違って、オルソは周辺もピントが合っているので目への負担が少なく、近視の進行を抑えられると考えられている」と渥美院長は話す。
0.1から1.0に上がった回復例も
米国では臨床試験で子どもの近視抑制効果が確認され、日本でも研究が進むことへの期待が膨らむ。同クリニックではオルソによる矯正をする患者の7割は18歳未満だ。
名古屋市の小学3年の女児(8つ)も4年前から毎晩、母親(39)にオルソレンズを着けてもらってから寝ている。近視で0.1程度だった視力は、オルソを外した後は両目とも1.0を維持している。母親は「学校のプールや習っているダンスやバレエも不自由なくできている。近視もそれほど進んでいない。今後もオルソで矯正を続けたい」と期待を寄せる。
ただ、子どもの場合は特に扱いに注意が必要だ。渥美院長は「特に幼い子どもは、装着やレンズの管理に保護者のサポートが欠かせない。医師の指導に従い、定期検診で異常がないかを確認することが大切」と話した。
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