〈絵本さんぽ〉武蔵新田 TEAL GREEN in Seed Village お茶が飲める絵本屋さん「元気がもらえる場所に」

(2024年8月24日付 東京新聞朝刊に一部加筆)

絵本さんぽ

 魅力的な絵本の店を記者が訪ね、紹介します。

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「TEAL GREEN in Seed Village」の店舗=いずれも東京都大田区で

4人の子育て中に絵本と出合った店主

 お茶が飲める絵本の店「TEAL GREEN in Seed Village(ティール・グリーン・イン・シード・ヴィレッジ)」。東急多摩川線武蔵新田駅から5分ほど歩いた東京都大田区の住宅街の一角に、白くてかわいい店が顔を出す。本棚には国内外からえりすぐった絵本や児童書が4000冊以上並ぶ。

店内には4000冊以上の絵本がある

 「『本との出合いを心地よく』を目指しています」と店主の種村由美子さん。4人の子育て中に絵本と出合った種村さんは「誰よりも私がはまりました」と笑顔を見せる。「本を通して子どもと同じ気持ちで笑ったり、怒ったり。子どもの気持ちがわかるようになり、見守って、信頼して送り出すことができた」と話す。

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店主の種村由美子さん。ベンチに飾られた「こんとあき」の「こん」のぬいぐるみは種村さんの手作り

 30年ほど前から児童館で読み聞かせ活動もしていた。子どもに読む以上、内容もしっかりしたものを、と女子大のオープンカレッジに通った。地域の仲間たちとも子どもや絵本の研究などを続けた。

小さな子が座って読める場所も

大好きなお店をお預かりしている気持ち

 1997年、隣町の久が原に現在の店の前身の「ティール・グリーン」がオープン。常連客の一人になり、足しげく通いながら、自主的に店を手伝った。2005年に店を閉めると聞いて「この場所をなくしたくない」と自宅を改装しての移転開業を決意。翌年、前店主の小林優子さんと共に再開し、2011年に店を引き継いだ。「大好きなお店をお預かりしている気持ちです」

国内外の絵本、児童書が並ぶ

 「ティールグリーン」は、コガモの雄の頭にある濃い青緑色を表す英語。「コガモが飛び立ち、種村のところに着地した」。店名にも物語が生まれた。

前身の「ティール・グリーン」の看板

ほっとひと息できるティールームを併設

 併設のティールームはこだわりの一つ。子育ての頃、唯一ほっとできたのが書店の喫茶コーナーだった。「バギーで入って、ちょっと休める。私がそうだったように、元気をもらえる場所になれたら」とほほ笑む。今年で移転18年。住宅やマンションが増え、親子連れも多くなり、街も人も変わったが、変わらず親と子の成長を見守り続ける店がここにある。 

コーヒーや紅茶を楽しめる。子どもたちにも人気な種村さんの自家製のクルミのクッキー(手前左)

TEAL GREEN in Seed Village

住所:東京都大田区千鳥2の30の1

電話:03(5482)7871

定休日:月、火、水曜。午前11時~午後6時

種村由美子さんおすすめの1冊

「あかちゃんがわらうから」おーなり由子(ブロンズ新社 1540円)

 お母さんがうれしいとき、こころを心配事でいっぱいにしているときも、赤ちゃんがわらう。子どもたちは、あふれる生命力で、わたしたちに「うれしいこと、ここにたくさんあるよ!」と教えてくれる。

おすすめのポイント

 子どもが小さい時はおうちから出られないし、世の中も不安なことだらけで、悲しいニュースばかり。暗い気持ちにもなってしまいますよね。私はこの絵本の「うれしいこと、ここにたくさんあるよ」って言葉がいいなぁと思っています。

 赤ちゃんのお話ですが、自分の目の前にあることが大切なんだってことに気づかせてくれます。毎日、心をざわつかせるようなことが起きていて、何から手をつけていいかわからない。でも、まずは自分の身近なものを大事にしたいです。そこから、自分自身の心を落ち着かせ、できることを考えていくと、世界平和にもつながっていくのだと思います。「だいじなこと、ここにあるよ」という言葉をかみしめたいです。今だからこそ、この絵本を選んだのかもしれないですね。

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