大切な児童文学の資料にカビ… 東京子ども図書館が大規模修繕のためクラファン 「お話の語り手を伝承したい」

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れんが造りが特徴的な東京子ども図書館=東京都中野区で

 東京子ども図書館(中野区)は18日、設立50周年を記念して同館の名誉理事長・松岡享子さん(故人)のドキュメンタリー映画の上映会とバザーを開催した。れんが造りの同館に移設して30年。本にカビが生えるなど設備の修繕は待ったなしの状況で、リニューアルオープンを目指してクラウドファンディングもこの日スタートし、来年1月31日まで寄付を募る。

これからも「お話」が続いていくことが…

 上映した映画は、「松岡享子 お話の種まきをした人―東京子ども図書館の活動をとおして」(監督・森英男さん)。松岡さんの児童図書館員としてのこれまでの軌跡や、生涯に渡り力を注いできた昔話などの物語を語り手が覚え、本を見ないで語る「お話」について描かれている。「くまのパディントン」などの翻訳でも知られる松岡さんは、「私の仕事の中で、『お話』は大きな意味を占めた。これからも『お話』が続いてくれることが私の願い」と生前最後のメッセージに込めた。

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上映後のトークショーで松岡享子さんについて話す張替恵子さん(左)と森英男さん=東京都中野区で

 同館理事長の張替恵子さんは「松岡さんは類いまれな表現者であり、教育者だった」と話す。「声とわずかな表現で伝えるお話で、子どもたちは子どもたちなりに物語をイメージする。音や絵のない世界で想像の翼をはばたかせてほしい」と願いを込めた。

老朽化した設備の交換や大規模修繕へ

 子どもの本の私設図書館として、公的な補助金を受けることなく、寄付と出版・人材育成事業により活動資金を調達している同館。設立50年の節目で、老朽化した設備の交換など大規模な修繕のためのクラウドファンディングを開始した。

 子どもたちが楽しめる児童室や「お話のへや」以外にも、地下1階の資料室には、国内外の昔話集や関連資料があり、児童図書館員や学校司書など、子どもと本を結ぶ活動をする人の役に立つ資料も備えている。

スクリーンショット

クラウドファンディングのページ

コロナ禍がきっかけで貴重な資料にカビ

 この資料室では空調などの設備の経年劣化に加え、コロナ禍の休館中に換気が十分にできなかったことや、夏期の高温多湿の環境が原因で、貴重な資料にカビが発生。昨年は空調機の管から水が漏れ、資料の一部がぬれた。

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カビが発生した書籍

 現在の地に同館が完成して約30年がたち、エレベーターもすでに交換の時期が過ぎている。設備を新型に更新し、館内の空気の流れを改善するために書架のレイアウトを変更する。松岡さんの軌跡を紹介するコーナーも新設する。

 目標金額は3300万円。来秋、工事に取りかかり、2026年春のリニューアルオープンを目指す。申し込みはクラウドファンディングのサイト「レディーフォー」から。問い合わせは、東京子ども図書館=電話03(3565)7711=で受け付けている。

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