広がる「シェアケーキ」の輪 困窮家庭の子どもに誕生日ケーキを贈ろう 2割がお祝いを断念 - 東京すくすく | 子どもとの日々を支える ― 東京新聞

広がる「シェアケーキ」の輪 困窮家庭の子どもに誕生日ケーキを贈ろう 2割がお祝いを断念

川合道子 (2024年11月25日付 東京新聞朝刊)
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誕生日を祝うカードも添えられている(チャリティーサンタ提供)

 NPO法人「チャリティーサンタ」(東京)が、経済的な事情で子どもの誕生日ケーキを用意することが難しい家庭に、ホールケーキを届けるプロジェクトに取り組んでいる。個人や企業が資金を寄付し、活動を支える。参加する洋菓子店も全国各地に広がっている。 

5個のケーキに10倍の応募

 「シェアケーキ」と名付けられたプロジェクトで、2022年度に本格スタートした。子どもの誕生日に合わせ、5号サイズのホールケーキ(4~6人分)をプレゼントする。初年度は約1700個、23年度は約3500個が贈られた。

 活動が広まるきっかけとなったのが、チャリティーサンタが子どもがいる約3000世帯を対象に実施したアンケートだった。経済的に困窮している家庭の約2割が子どもの誕生日にケーキを諦めていることが判明。ケーキを準備できた家庭の中にも「子ども3人にケーキは1人分だけだった」「(手作りした)誕生日ケーキにフルーツをのせてあげたかった」といった声があったという。

 岡山市内の洋菓子店と連携して試験的に始めた活動では、用意した5個のケーキに10倍の応募があったことも。「落選した家庭にとっては『誕生日のお祝いを二度諦めた』形になってしまった。支援を広げていく必要性を強く感じた」と事業責任者の河津泉さんは振り返る。各地の洋菓子店に協力を求めたり、資金を集めたりして対象エリアを全国に広げた。

4000円の寄付でケーキ1個

 プロジェクトでは、4000円の寄付でホールケーキ1個をプレゼントできる。ケーキの代金として3000円が洋菓子店に支払われ、残りはプロジェクトの運営資金にする。チャリティーサンタのホームページを通じ、月1000円から寄付が可能。1個分(4000円)を毎月寄付する人も少なくないという。

 対象となるのは、児童扶養手当や就学援助、生活保護といった公的な支援を受けている家庭や、それに準ずる状況にある家庭で、子どもが18歳の誕生日を迎えるまで申し込める。必要なケーキ数に対して寄付額が下回る場合は抽選になる。

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ケーキを製造するスタッフ=北海道内で(Cake.jp提供)

子どもの笑顔が見られた

 参加する店舗も徐々に増え、現在は全国各地の洋菓子店77店とスイーツやケーキ専門の通販サイト運営会社「Cake.jp」が加盟。あらかじめ決めた店舗でケーキを受け取ってもらうか、近くに加盟店がない場合などには冷凍のフルーツデコレーションケーキが北海道の洋菓子メーカーから配送される。Cake.jpは、独自の取り組みも。通販サイトの利用客が商品を購入する際に希望の額を支援できる機能を導入し、全額をシェアケーキの活動に寄付している。

 シングルマザーとして小学5年の長男(11)を育てる名古屋市の女性(47)は、「離婚前は家族で外食をして祝ってあげられたが、今はホールケーキを買うことが難しい」と昨年に初めて応募した。大きな口でケーキをほおばる姿に、「子どもの喜ぶ顔が見られてうれしい。知らない誰かが大切なお金を使って誕生日を祝ってくれることに感謝したい」と話した。

 河津さんは「子どもにとって『誕生日おめでとう』という言葉は、あなたが生まれてきてうれしいというメッセージ。大人たちが協力してケーキを用意をすることは、経済的な事情に関係なく、自分が社会の中で大切にされていると思える大きなメッセージにもなる」と協力を呼びかけている。

 NPO法人「チャリティーサンタ」 

毎年12月24日のクリスマスイブに、サンタクロースにふんしたボランティアが子どもがいる家庭にプレゼントを届ける「サンタ活動」に取り組む。2008年に活動を始め、これまでに延べ5万人以上にプレゼントを届けた。現在、支部は金沢、浜松、名古屋など44カ所に広がる。全国の書店と連携して生活困窮家庭の子どもに本を届ける「ブックサンタ」のほか、被災地支援などの活動も行っている。

【ブックサンタの記事はこちらから読めます】

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