「魔女の宅急便」「小さなおばけ」角野栄子さんの自由な世界へ 鎌倉文学館で特別展
北爪三記 (2019年7月14日付 東京新聞朝刊)
「児童文学のノーベル賞」と言われる国際アンデルセン賞を昨年受賞した角野栄子さん(84)=鎌倉市=の特別展「角野栄子の世界-おばけにゾクゾク 魔法でわくわく」が13日、鎌倉市長谷一の鎌倉文学館で始まった。集まった多くの親子に向けて、角野さんは自らの歩みを踏まえ「物事は『自由』から出発しないとだめ」と語り掛けた。
おばけシリーズのルーツは疎開先の「暗闇」
角野さんは、「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズや、アニメ映画化された「魔女の宅急便」などの作品で知られる。会場には直筆原稿や創作ノート、作品原画をはじめ、愛用のボールペンや国際アンデルセン賞のメダルなど約100点が並ぶ。
オープニングトークで角野さんは、太平洋戦争中に疎開先で体験した暗闇におばけを意識し、40代になっておばけシリーズに取り組み始めた、と説明。「小さいころのことは心に入っていて、何十年たってから心が動くことがある。そういう時、初めて人は表現したいと思うのでは。思い出は現代に生きるものなんです」と話した。
誰にも見せないいたずら書き、お勧めしたい
10歳で迎えた終戦時に「自由に生きたいと思った」と振り返り、「何かつくろうと思ったら心は自由でなければ」と強調。絵を描きながら創作すると言い、「誰にも見せないいたずら書きは自由が生まれ、案外面白くなる。ぜひともお勧めしたい」と活用を呼び掛けた。
特別展は9月23日までで、月曜休館。入館料は一般500円、小中学生100円。期間中、今月27日と8月31日は午前11時から、角野さんによる朗読とおはなしの会がある。
「かいけつゾロリ」原ゆたかさんと講演会も
同月17日には鎌倉商工会議所ホール(御成町)で、角野さんと児童文学作家原ゆたかさんによる講演会が開かれる。問い合わせは同館=電0467(23)3911=へ。
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