暖かい、ある秋の日 四男が聞いてきた「パパ、きょうはなつ?ひる?」〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉

朝、長男、次男、三男は学校に行った。しかし、四男がなかなか起きてこない。のぞきにいくと、まだぐっすり寝ていた。カーテンを開けて、「朝やで、早よ起きや」と言っても、ピクリともしない。
かわいい。写真を撮る。頭をなでる。まだ起きない。頰で四男の頭をすりすりする。それでも起きない。あまりに気持ちよさそうに寝てるので、幼稚園にはバスではなく、あとから直接送っていくと、アプリで連絡を入れた。
自転車で幼稚園に向かう。きりっと晴れて、この季節にしては暖かい日だった。「パパ、きょうはなつ?ひる?」と四男が聞いてきた。「どう思うの?」と聞き返すと「なつじゃないけど、ひる?」「朝」「そっか。でも、なつじゃない?」「夏はもっと暑いな。もう秋やで」「あきか~、でも、ひる?」「朝」。納得したのかしないのか、僕のお尻をもんできた。

「なんでもむの?」「だって気持ちいいんだもん」「気持ち悪いからやめて」と言っても、ひゃっひゃっと笑ってやめない。そんなに嫌でもなかったが、よその人のお尻をもむ子になったら困るので、怒ったふりをした。
幼稚園に着く。四男にバイバイしていると、男の子がじっとこっちを見ていた。その子にもバイバイしてみた。「ぼくのへやは2かいだよ」とその子は言った。「2階か。いいなあ」と言うと、うれしそうに笑った。

「あれっ、今来たの?」と、幼稚園バスの運転手の安田さん。いつも笑顔でダンディー。「見たよ。なんか子どもの写真撮って、文章も書いてんだね。よかったらモデルになるよ」とポーズを決めていた。今度、安田さんの写真を撮らせてもらおう。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。15歳、12歳、8歳、5歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
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