長かった夏休み 2日目に妻が「もう終わってくれよ~」〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
「てっちゃん家(ち)行こうよ」と子どもたちが言った。「てっちゃん家」は、長野県の白馬村にある友人宅のこと。ここ3年、毎年夏に通っている。ぞろぞろと6人の大所帯で行っても、嫌な顔一つしない友人夫婦に甘えている。てっちゃん家にも年が同じくらいの子が3人いて、今回も、計7人は川に飛び込んだり、朝から晩まで遊び倒した。
でも、1つだけ問題があった。うちの四男と友人の三男のもくちゃんが、いつもおもちゃを取り合ってケンカをする。というか、乱暴なうちの四男が、すぐ手を出すので気が気でない。それが驚いたことに、今回は2人が成長したのか、ずっと仲良く遊んでいて、ほっとした。
僕らが帰る際、もくちゃんは、やだやだと泣いてくれた。「もくちゃんかわいかったね。連れて帰りたかったね」と、帰りの車で上の3人が話していると、四男も「もくちゃん、もっとさわりたかった」と言ったので、みんなで笑った。
夏休み後半。宿題もせず、漫画ばかり読んでいる次男に妻は、「宿題いつはじめんの?」と言い、「わかってるよ。やるよ」と言い返し、「最後に泣いたって手伝ってあげないよ」と妻。「やるよっ」と次男が逆ギレし、しまいには泣き出す。これが毎日。
一度「宿題のことどう思ってるの?」と僕が聞くと、「やりたくはないけど、やらなきゃいけないと思ってるよ」と涙で赤くした目で、やっぱり漫画を読んでいた。
子どもが夏休みに入って2日目に「もう終わってくれよ~」と、妻が懇願した夏休みがやっと終わった。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。13歳、10歳、6歳、2歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい