修学旅行のお土産は、次男も木刀 このままいくと…〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉
四男の誕生日の朝。「おめでとう。今日から4歳やな」と言うと、「4歳はもっと大きいよ!」と怒り出した。四男の4歳は、どれぐらい大きいのだろう。僕の中の50歳が「地に足のついたしっかり大人」だったぐらいに、大きいのかもしれない。
そんな四男が、手足口病になった。そのシンプルな病名通り、手と足と口にぶつぶつができた。何日かはうつるので幼稚園には行けないが、ぶつぶつ以外はいたって元気だったので、2人で海に行った。
岩場で小さなカニを捕まえて四男に渡すと「キミがきてくれたから、カニをとることができたよ」と声色を変え、何かのキャラなのか、芝居じみた言い方だった。このままスルーするのも悪いので、「キミも一緒にカニを捕まえよう!」と僕も声優になったつもりでがんばってみたら、四男に無視された。
「僕がいない間は、絶対おいしいもの食べないでよ」と言い残し、次男は修学旅行に行った。行き先は長男の時と同じ日光。2年前、長男の買ってきたお土産は、「いちご餅」「キーホルダー」「十手」「木刀」だった。今回の次男は、「ゆず餅」「乾燥湯葉」「味付き湯葉煮」「湯葉刺し」、そして日光と書かれた「木刀」。
やはり木刀か。この調子で、下の2人も修学旅行に行けば、我が家には木刀が計4本そろうことになる。そんなにはいらない。いや、待てよ。最近は物騒な強盗事件が多い。僕は木刀を構えた子どもたちと、「御用だ!」と十手を持つ自分を想像して、「強盗が来ても大丈夫そうやな」と妻に言うと、「向こうはバールらしいよ」と言われた。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。14歳、12歳、7歳、4歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
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