浜松医大などのチーム　5人の赤ちゃんから成分採取

　研究チームによると、赤ちゃんのにおい成分を分析し、効果を実証した研究は世界初。

　研究は、浜医大で生まれた新生児5人（男3人、女2人）を対象に実施した。においを吸着しやすい素材で作った直径5ミリの粒をガーゼに包み、20分ほど頭に当てて皮膚から出るにおい成分を採取。アルデヒドや炭化水素などの成分を特定した。

再現したにおい、かいだ60人の男女全員が「好意的」

　これらの成分を人工的に調合して、生後間もない赤ちゃんの平均的なにおいを再現した。10～20代の男女約60人にかいでもらって評価を聞いたところ、全員が好意的に感じた。

針山孝彦特任教授

　針山特任教授は「生まれたばかりの赤ちゃんはにおいによって、『自身を守ってほしい』というシグナルを保護者に出している可能性がある」と話した。今後、においの心理的効用を詳しく調べるため、両親がわが子のにおいを識別できるかなども研究する。

　再現したにおいにはリラックス効果もあるとみられ、日常のストレス軽減や、他人とのコミュニケーション醸成に役立つ香水などの実用化も見込めるという。研究成果は英オンライン科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。