〈アディショナルタイム〉サッカー漫画「DAYS」で学ぶ、努力の意味と家族愛

谷野哲郎

マンガ『DAYS』

 サッカーをやっている子どもに何か参考になるような本を贈りたい。今回はそんな思いを抱いているご家族の方にお勧めの本があります。『DAYS』(安田剛士著、講談社)は子どもたちに人気のサッカー漫画の1つ。小、中学生世代にぜひ読んでもらいたい作品です。

 主人公の柄本つくしは聖蹟高校の1年生。運動は苦手でサッカー経験もないのですが、同級生で天才プレーヤーの風間陣に憧れてサッカー部に入ります。チームメートは頼れる主将・水樹寿人ら個性豊かな面々。つくしはその中で泣いて、笑って、ぐんぐん成長していきます。

 技術もない、足も速くない、そんなつくしが選んだ道は「とにかく諦めずに走る」こと。ピッチの外に出そうなボールでも全力で拾いにいきます。それが監督の目に留まり、試合に出られるようになっていくのです。

 「誰かのために誰よりも走る」。つくしの信念は今、実は世界の注目ワードになっています。W杯を見ても分かるように、どんなに優れたテクニックを持つスター選手であっても、運動量や献身性がないと勝ち抜けない時代になりました。今季の国際サッカー連盟(FIFA)最優秀選手は、メッシでもロナルドでもなく、攻守に全力を尽くすクロアチア代表のモドリッチでしたね。つくしのプレーは、将来の代表選手への第一歩なのです。

 この漫画は家族の物語でもあります。つくしの母・のぞみは交通事故で夫を亡くし、児童館で働きながらつくしを育てています。足が不自由で車椅子の生活ですが、お互いを思いやる姿は読んでいて胸が温かくなります。努力や仲間の大切さ、そして親子の愛情。『DAYS』でサッカーを学んでみてはいかがでしょうか。

 「アディショナルタイム」とは、サッカーの前後半で設けられる追加タイムのこと。スポーツ取材歴30年の筆者が「親子の会話のヒント」になるようなスポーツの話題、お勧めの書籍などをつづります。
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