忙しすぎる柏児童相談所…児童福祉司1人が平均43人を担当 野田市の小4虐待
心愛さんの帰宅後の様子 担当職員が多忙で確認遅れる
「虐待の再発はないと考えた。担当職員に緊急の対応などがあり、帰宅後の確認が遅れた」。今月5日、千葉県庁での記者会見で柏児相の二瓶一嗣(にへいひとし)所長はそう繰り返した。
心愛さんが学校アンケートで父親からの暴力被害を訴え、柏児相が一時保護したのは2017年11月。児相は翌12月末、父方の親族宅での滞在などを条件に保護を解除し、18年2月末には、虐待を否定する勇一郎容疑者の要求に押し切られる形で、自宅に戻す決定をしていた。
認定NPO法人チャイルドファーストジャパンの山田不二子理事長は「虐待を認めず、母親へのドメスティックバイオレンス(DV)も疑われる中、父親の元に帰すのは極めて危険だった」と批判する。
全国の相談・通告への対応は13万件 27年連続で最多を更新
住民や学校などから虐待通告があった場合、児相は48時間以内に児童の安全を確認し、緊急度が高い場合は一時保護。施設や里親に預けるか、親元に戻すかを調査する。
17年度、全国の児相が虐待の相談・通告に対応したケースは約13万件に上り、27年連続で過去最多を更新。7カ所の児相がある千葉県は計約7900件で、都道府県別では5番目に多かった。
専門家の声「警察に機能を分け、支援に専念できる体制を」
県などによると、県北西部の5市を管轄する柏児相では、子どもの相談や支援を担う児童福祉司の1人当たりの平均担当ケースは43.6人(17年度)。県内で児童福祉に携わる50代の男性は「職員一人一人が忙しすぎ、手が回らないのが現状」と語る。
花園大の和田一郎准教授(子ども家庭福祉論)は「少なくとも通告の受け付けは警察に機能を分離するなど、児相が支援業務に専念できる体制を整える必要がある」と話す。
政府は、22年度までに児童福祉司を2020人程度増やす計画を前倒しする方針だが、単に人を増やすだけなく、人材育成と体制の整備が急務だ。
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