児童手当の所得制限 今年10月分から「両親どちらかが年収1200万円以上」なら支給停止〈どんぶり一家のマネー術〉

(2022年2月4日付 東京新聞朝刊)

図解 児童手当の支給額

どんぶり一家のマネー術

 主婦の財子(ざいこ)さん(39)と会社員の夫の経男(つねお)さん(42)、長男税太(ぜいた)くん(4)、長女貨保(かほ)ちゃん(0)のどんぶり家。一家のお金の悩みにファイナンシャルプランナーの陽子さんが助言するコーナーです。

コロナ給付金も所得制限がありましたが…

 陽子 保育園が無事決まったそうで、よかったですね。

 財子 ほっとしました。頑張って働いて、子どもたちの教育資金をためなくては。昨年末、新型コロナの経済対策として支給された「子育て世帯への臨時特別給付金」も、すぐに使う予定がないので貯蓄しました。

 陽子 コロナへの不安が続いているので、そういうご家庭は多いようですね。

 財子 働くことになり、一つ気になりだしたのが、今回の給付金にもあった所得制限のことです。児童手当にもありますよね。

 陽子 児童手当は、子どもが3歳未満だと月1万5000円、3歳から小学生は月1万円(第3子以降は1万5000円)が支給されます。中学生は月1万円。所得限度額は扶養親族の数で違いますが、子どもが2人のどんぶり家だと、年収917万円が目安です。

世帯年収が同じでも、特例給付の有無に差  

 財子 共働きになると、所得限度額は両親の収入の合算で見るのですか。

 陽子 いえ、どちらか所得が高い方の所得で判定されます。

 財子 それなら、うちの場合、当面は所得制限に引っ掛かることはなさそう。年30万円の手当はとても助かります。

 陽子 所得限度額以上になる場合は特例給付として、中学生以下の子ども1人につき5000円が支給されます。ただし、今年10月の支給分から、両親どちらかが年収目安で1200万円を上回ると、特例給付も支給されないことになりました。

 財子 世帯年収が同じでも、どちらか一人が高収入の世帯は支給されず、平均的な年収の共働き世帯なら受け取れる、ということになるんですね。

首都圏は「1200万円」でも楽ではないのに

 陽子 今回の特別給付金でも話題になりましたが、子育て支援に所得制限を課すことの是非や、判定基準を世帯合算にするべきかどうかは議論があります。

 財子 特例給付が廃止される世帯は、子ども2人の場合で年12万円あった手当が入らなくなるんですね。

 陽子 東京など首都圏は住居費が高い上、中学、高校で私立への進学も多く、年収1200万円でも決して家計は楽ではないと思います。2人目、3人目を産んで、育てられるかどうか、と相談されることも多いです。所得にかかわらず、安心して子育てできる政策を望みたいですね。 

監修・八木陽子

写真 八木陽子さん

 東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体「キッズ・マネー・ステーション」を設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う「株式会社イー・カンパニー」を設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。

※「どんぶり一家のマネー術」は毎月第1金曜に掲載します。次回は3月4日です。

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