どうなる共同親権 大詰めの議論の状況や論点をQ&Aで解説します
父母が離婚後もともに子の親権を持つ「共同親権」の導入を巡る議論が、法制審議会(法相の諮問機関)の部会で大詰めを迎えています。年内のパブリックコメント(意見公募)を経て、民法改正案がまとまる見通しです。家族のあり方に影響を与える共同親権導入の賛否両論について解説します。
なぜ議論に? 子どもの利益になるの?
―親権とは何ですか。
子の世話や教育をしたり、子の財産を管理したりする民法上の権利・義務とされています。日本では、婚姻中は父母が親権者となる「共同親権」ですが、離婚後は一方が親権を持つ「単独親権」になっています。法制審ではこれらを定めた民法を改正して離婚後の共同親権を導入するかどうか議論しています。
―現行の民法では、離婚後の子育てはどうなっていますか。
民法は、離婚後の子の世話や教育をどちらが担うかや、別居親と子が会う頻度、養育費の分担などを父母の話し合いで決めるように定めています。この時、子の利益を最優先しなければならず、父母で決められない時は家庭裁判所が判断します。離婚後も世話を分担し、子どもにかかわる大事なことを話し合いで決める「共同養育」は、現行法でも可能です。
―なぜ離婚後の共同親権の導入が浮上しているのですか。
離婚後の養育費の分担などを決めるよう定めた2011年の民法改正時、国会の付帯決議に、離婚後の共同親権の可能性を含めた検討が盛り込まれたのが発端です。離婚後の協議が円滑に進まず、子に会えないなどの不満を持つ親の中には、父母がともに親権を持ち続ける制度を望む声があります。
―父母が離婚後も養育にかかわった方が、子の利益になるのですか。
そうとも限りません。配偶者の暴力から逃げた人を支える団体などは、共同親権導入で元配偶者との関係を維持しなくてはいけなくなり、加害が続いたり、子が対立に巻き込まれたりすることを懸念しています。置かれた立場によって、離婚後の共同親権への賛否は分かれるのです。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年11月5日]
制度案は2つ なぜまとまらないの?
―離婚後の共同親権は導入されるのですか。
まだ分かりません。法務省の制度案には、(1)離婚後も父母ともに子の親権を持つ「共同親権」を導入する案と、(2)共同親権は導入せず、一方が親権を持つ「単独親権」を維持する案が並べられています。
―なぜ、1案にまとまっていないのですか。
部会に参加する識者らの間で賛否が割れているからです。部会では「元配偶者に子を連れ去られて会えない」「学校行事に参加させてもらえない」など、単独親権の下で別居親が抱える苦痛が報告され、父母がともに親権を持てる新制度を望む意見が出ました。一方、ひとり親の支援者らは、共同親権の導入で、別居親からの不当な介入や圧力を拒否できなくなること、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待のあるケースで加害が長引くことを心配しました。
―共同親権を導入する場合、どのような論点がありますか。
現状では単独親権を廃止する案はなく、離婚後の父母に与えられる選択肢として、共同親権を原則とする案や単独親権を原則とする案などがあります。仮に共同親権を原則とする案が採用されれば、現行の単独親権は例外的な位置付けになります。共同親権となった場合、主に子を世話する民法上の「監護者」を父母の一方に必ず定めるかどうかも、ポイントの一つです。
―監護者になった親には、もう一方の親より強い権限があるのですか。
監護者が一人で世話や教育をする権利を認め、別居親に事後通知する案や、父母間で事前に話し合うことを原則とする案などがあります。部会では、子の手術や進学に別居親の同意が必要になった場合、子の不利益につながる可能性があるとの意見が出ました。現行法でも、父母が対等に話し合い、子育てを巡る同意があれば、協力して子育てする「共同養育」はできるため、法改正が本当に必要なのかを含め、大論争になっています。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年11月6日]
パブコメ延期…自民党の意向が反映?
―議論は今後、どのように進みますか。
法務省は7月、離婚後の単独親権を維持する案と、共同親権を導入する案を部会に示しました。現在、この2案を軸に議論が続いており、年内にも国民の意見を聴くパブリックコメントを行います。その後、制度の詳細を固め早ければ来年の通常国会に民法改正案が提出されます。
―パブコメで国民に示す制度案は、まだ決まっていないのですか。
法務省は9月にパブコメを予定していましたが、自民党法務部会で一部の議員が同省に対し、「法制審で進んでいる議論に、党内の議論が反映されていない」と主張し、共同親権の導入をより鮮明にした制度案への変更を迫りました。その結果、同省は家族法制部会での意見集約やパブコメを延期しました。
―自民は共同親権を推進しているのですか。
法務部会のプロジェクトチームは6月、「家族の分断を生じさせてはならない」と、離婚後の共同親権導入を法相に提言しました。別居親を支援する議員、法律婚や血縁を重視する「伝統的な家族観」にこだわる議員らが推進役になっています。
―自民の意向は制度案に反映されますか。
分かりませんが、家族法制部会では多くの委員が「法制審の独立性を重視するべきだ」と、取りまとめの延期を問題視しました。神奈川県弁護士会は「誠に遺憾」との声明を発表し、政治的な要求を受けない議論を求めました。野党の中には共同親権導入に反対する動きもあります。
―過去に法制審が政治の影響を受けた例はありますか。
法制審は1996年、選択的夫婦別姓を認める民法改正案を答申しましたが、自民党内の反対により、法案提出に至りませんでした。家族法制は一人一人の人生にかかわります。共同親権を巡る論争は、国民の多様な家族観を反映しています。子どもにとって何が最善なのか、立場を超えて議論を尽くす必要があります。
なるほど!
グッときた
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知りたい
DV被害を受けていらっしゃる方には単独親権でよいのではないかと思います。
不貞を働いた父親や母親に関しても踏み込んでほしいところですが…。
シングル世帯のパートナーからの虐待致死もニュースで盛んに騒がれている中、共同親権を持つことでこのような事例を防ぐことができるのであれば、私は賛成です。
共同で子育て出来ない相手だから離婚になったのに、なぜ法律が変わったら出来るようになるとか思うのか。そんなわけがない。
離婚後、親権を持たない親は、
・子供に贈与するための銀行口座すら作れない。
・親権者による子供の不利益について口を挟めない守れない。
共同親権という法制度の問題とDVという犯罪が同列に語られているのに違和感がある。
独りの親権者によるDVだともう誰も子供を守れない事の方がよっぽど問題である。
反対する方々の気持ちはわかりますが、共同親権について、かなり勘違いしていると思われます。共同親権制度になっても、全員が共同親権でなければいけない訳ではなく、今の単独親権が消えてなくなる訳でもないです。単独親権もちゃんとあります。相手が共同を希望していても、共同親権にする事が子供にとって良くない場合は共同親権を強制される事はないです。子供にとって単独親権の方が良い場合には、単独を申し出れば単独親権が認められます。それに反対なんですか?
単に自分の事例だけで共同親権に反対するのは、DVなど深刻な問題がなく、離婚はしても子供の養育は単独より共同にしたいと言う多くの人達は立つ背がないです。共同親権だけになるんじゃなくて、共同も単独も両方ともある形になるんです。
今まで通りの単独親権でも、子供を共同養育している人はいるから今のままで良い、という意見がありますが、今は単独親権に国の予算が付いて支援がありますが、共同養育している人には国の予算はゼロで支援もゼロです。それが、共同親権つまり共同養育にも国の予算が付き、支援も受けられるようになるので、全く意味が違います。
今までなかった共同親権というものが出てきたから、じゃあ、その共同親権ってどういうもの?という話になっていますが、単独親権は単独親権で別にちゃんとありますから。新しい方の共同について反対するのは意味がわかりません。
離婚する人達の全部が全部、反対する人達と同じ家庭環境ではないですし、単独親権を必要とする人達まで、共同親権に取って代わる事はないです。単独親権が無くなって、全部が全部共同親権にさせられる訳ではないです。
家族制度の全体的な考え方としては、今まで親中心だったり 家中心だったりした70年前からの古いものを、子供中心に変えて現代に合う形にしていこうという事です。そういう事なので、話半分でパニックになっている方につられて負の連鎖反応を起こさないよう気を付けてください。それこそ、子供に悪影響になりますから。
共同親権に賛成です。
男性 30代 2023/01/15 00:04の方と同意見です。
子供を愛しています。
合わせてもらえない父親の気持ちがわかりますか。
共同親権には賛成です。
反対される方々は、虐待やDVを理由に反対される論調が目立ちますが、虐待やDVは離婚理由のマジョリティーではありません(主な離婚理由は男女共に「性格の不一致」です)。虐待やDVの事例を多数派のよう認識して親権制度の原則論を論じてはならないと思います。もちろん、虐待やDVが客観的証拠から明らかな場合には単独親権を認めるべきだと思いますがそれはあくまで「例外規定」で対応すべきです。
共同親権に賛成です。
むしろ反対する意味が分からない。
選択制にしてDVが認められる場合は単独親権にするのであれば、反対する理由が無い。
善良な父親が身勝手な母親から子を引き離され、父子の幸福を阻害している。
欧米諸国では子の幸せを考え共同親権が普通です。
共同親権には絶対反対します。
モラハラや DVのある関係では共同親権があることを理由にして、子どもの安心感や幸せへの配慮が無視されることになると考えます。
単独親権であっても関係性が良ければ連携して経済面、医療や進路など子どもの幸せに繋がります。
共同親権なんて、絶対に反対です!!子供達の利益になるなんて、到底思えません。
共同親権を声高に主張している当事者たちは、DVなどで相手方と最低限の信頼関係すら保てていない人たちです。婚姻中、DVやモラハラ、暴力などなく、離婚後もお互いに連絡を取り合い、協力して子育てできている人たちは、共同親権などと主張しなくとも、共同で養育できています。共同親権は、DV加害者とDV被害者にずっと関わりを持たせる悪法です。
婚姻中、私だけでなく子供達にも暴力を振るっていたような男にもなんとかして面会交流させようとする現在の裁判所の風潮も変えてほしいです。
離婚後共同親権になると進路や医療などの重要事項についての決定に支障があるとの懸念で反対する方がいますが、間違っていると私は思います。
重要なら逆に片一方の判断ですべきではありません。日本人は人との関わりを拒否し過ぎです。さまざまな意見を取り入れて最善にたどり着けるようでなければ豊かな子育てはできません。
単独親権の国は主要国はインドと日本くらいです。国際基準に親権合わせ親がもっと懐の深い育児ができる日本になるよう離婚後の親権が共同親権になることを望みます。
DV避難シェルター、住民票閲覧制限の存在意義がなくなります。
共同親権を逆手にとられ、ただでさえ支配下にある中で動けないのに、声をあげることさえできなくなります。
聞こえはとてもいいものですが、実際の当事者の声を聞いてほしいです。
モラハラを受けていました。子を連れ去られ、挙句には「親権を俺に認めないと離婚しない。親権を認めない場合は、このままの状態を続ける」と言われました。子どもを返してもらう裁判に半年以上、さらにそこから離婚には1年以上かかり、未だに心の傷は癒えていません。そんな中、この『共同親権』という言葉を聞いた時、心臓をえぐられたたような気持になりました。「やっと解放された・・・」。そう思っていた矢先、また苦しむ不安材料が増えました。
モラハラは心に大きな傷を負うのに、なかなか証明が難しいです。対等に話し合える間柄ならば、なんの問題もない改正です。が、そんな方がどれだけいるのでしょうか。子どもを連れ去る程の人間で、また何をしてくるかわらない、これまでどれだけ酷い仕打ちを受けていたか説明しても、調停員は面会は絶対。子どものことを想って言っているというより、面会権を与えなかったという結果が、調停員の評価を下げることになるので、是が非でもというようにしか聞こえませんでした。
勿論、この改正で救われる方も出てくるかもしれません。でも、それ以上に悩み、苦しみ、傷つき、恐怖の日々を過ごすことになる人がたくさんいることを念頭においてほしいです。
権利ではなく『義務』ではいけないのでしょうか。モラハラ男は権利を自分の良いように行使してきます。養育費の未払いが問題なら、もっと別の方法で徴収するシステムを作ればいいだけではないでしょうか。
助けてほしいです。普通に話し合うことが出来ないから、離婚になったのです。普通に話し合うことが出来ないから、裁判になったのです。普通に話し合うことが出来ないから、離婚した今、子どもとの生活が幸せでたまらないのです。もうこれ以上、元夫のことで心を支配されたくないです。平穏な日々が過ごしたいだけです。どうか、そっとしておいてほしいのです。
共同親権を叫ぶ人々、某団体など、声高にアピールする人たちの意見がよく聞こえますが、DVを受けている、受けていた被害者には、余裕がありません。自分のこと、子供のこと、自分たちの傷を癒すことで手一杯です。また、被害者が声をあげると、加害者からの再暴力、二次被害に晒されかねません。
なんの問題もなければ、一度は結婚した者同士、親として子供に接したい、接してほしいと思っています。でも、実際は暴力を受け、加害者から連れ去りだと裁判を起こされ、被害者が暴力やモラハラを受けていたと裁判所に訴えても認められず面会交流を強要され、共同親権を強要される…。離婚も数年以上できず、離婚後も救われません。
こういうケースは、けして少なくありません。実際に被害にあうまで知りませんでした。このようなケースでの対策が不十分なまま、共同親権だけ導入するのはやめてください。