ワーママ「5年目に読む本」 小学校入学の不安、乗り越えるために

(2017年7月31日付 東京新聞朝刊)
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「『ワーママ』5年目に読む本」を出版した「パワーママプロジェクト」の太田理奈子さん(右)と佐藤裕美さん(左)ら=東京都目黒区で

 働くママは子どもの就学が近づくと、仕事と育児の両立で壁にぶち当たる-。小学校では保育園のように夜までは預かってもらえない上、子どもとのコミュニケーションも大事にしたい時期。一方、出産、職場復帰から経験を積み、仕事にやりがいを感じるころでもある。ワーキングママ(ワーママ)たちが、そんな板挟みになった自身の体験をまとめた「『ワーママ』5年目に読む本」(光文社)が出版された。

50の悩みとアドバイス、体験談を本に

 本を書いたのは、働くママたちでつくる「パワーママプロジェクト」。SNSを通じて知り合った全国の約2000人が2013年から、情報交換などの活動をしている。

 ママたちの間でしばしば話題に上るのは、子どもの小学校入学を目前に控えての不安だ。夜まで預かってくれる保育園と違い、小学校は午後2~3時に下校し、放課後は学童保育に通わせる。授業参観など、学校に足を運ぶ機会も多い。

 本は4月に出版。ママたちが抱える50の相談と、それに対する専門家からのアドバイスをまとめた。先輩ママたち約20人の体験談も紹介している。

子ども中心の生活でキャリアアップも

 都内の広告会社勤務の太田理奈子さん(42)は、CMなどの企画や制作に携わり、08年に長男(9つ)を出産。社内で初めて育児休業を取得し、長男が9カ月の時に保育園に預けて仕事に復帰した。

 すると、子育てに関わる広告制作の依頼が増えた。「この仕事ができるのは自分しかいない」「周囲の期待に応えなければ」と、夫の実家を頼りながら午後9時ごろまで残業する生活が続いた。

 だが子どもが4歳のころ、夜泣きをするようになったり、物を投げ付けてイライラした様子をみせたりすることが多くなった。小学校に入れば、宿題をみるなど子どもと過ごす時間が今より必要になるはずと、自分から拘束時間が短い部署への異動を願い出た。

 これまでのキャリアを手放したくない気持ちを抱えながらの異動願いだったが、小学校入学後は子どもと毎日交換日記をしたり、PTAの役員を務めたりする時間と心の余裕ができた。会社でも部長に昇進。今は「子ども中心の生活に変えながら、キャリアアップもできている。働き方を見直して本当に良かった」と感じている。

移動、時短…企業も柔軟な対応が必要

 都内のネット関連会社に勤務しながらプロジェクトの広報を務める佐藤裕美さん(40)は、小1の長女(6つ)の入学を見越して昨年、転職した。3人の子どもがおり、以前は大手スポーツ用品メーカーに勤務していた。今の会社は設立3年目のベンチャーだが、子どもが病気の時は自宅勤務が認められているなど、育児と仕事がより両立しやすくなったという。

 本では、短時間勤務(時短)を使い、同じ部署で働き続けたケースなども紹介している。

 ママたちの働き方について、労働政策研究・研修機構主任研究員の池田心豪(しんごう)さんは「これからは企業にも、時短とフルタイムの勤務を局面に応じて使い分けられる『時短の分割利用』など、キャリアアップと育児を両立する柔軟な対応が求められる」と話す。

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