中高教員の休日の部活指導をなくします 茨城県が「地域移行」2025年度を目標に
長崎高大 (2022年5月18日付 東京新聞朝刊)
教職員の長時間労働の一因となっている部活動の改革案を検討してきた茨城県教育委員会の有識者会議が、部活動の運営を地域のスポーツクラブなどに委ねる「地域移行」を柱とした提言をまとめた。県教委はこれを受け、本年度中に「茨城県部活動の運営方針」を改訂、休日返上で部活動指導に当たる中学校や高校の教員を2025年度末までにゼロにすることを目指す。
県教委の有識者会議で「前倒し」提言
有識者会議は16日、森作宜民(よしたみ)県教育長に「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革に関する提言~地域移行を目指して~」を提出。提言は、休日の部活動指導をゼロとする目標時期について「当初の2028年度から前倒しに努めるべきだ」と求めている。
森作教育長は、国が定める部活動改革の集中期間である2025年度末までに達成する考えを示し、「教員が本来業務の教科指導に専念できる環境を整え、質の高い教育ができるよう、提言の実現に取り組んでいきたい」と述べた。
提言は、地域移行に向けた課題として、教員に代わる指導者人材の確保を挙げ、人材バンクを創設するといった支援策のほか、資格要件や、事故時の責任などの契約条項の設定を要請。教員が兼職・兼業で指導者になる形も想定し、基準の明確化や活動時間上限の順守も求めた。
部活動改革 有識者会議の提言のポイント
- 休日の部活動指導ゼロの目標時期を2028年度から前倒し
- 地域移行を人材バンク創設などで支援。指導者人材の資格要件や事故時の責任を明確化。困窮家庭の支援や保険の整備も
- 部活動数の適正化や複数顧問制の推進
- 公式大会の運営・役員業務を整理。休日に大会参加の場合、柔軟に「代休」取得。年間の参加大会数にも上限を
部活の運営は顧問ではなく生徒の手で
また、地域移行に伴い生徒に参加費負担が生じたり、けがへの備えも必要になったりするとして、困窮家庭への支援や保険の整備なども進めるよう促した。
2019年1月に県教委が策定した「部活動の運営方針」を見直して過剰な活動を抑えることや、部活動の企画・運営を顧問中心から生徒中心に改めること、1つの部に2人以上の顧問を置く複数顧問制の推進なども盛り込んでいる。
有識者会議の委員長を務めた流通経済大スポーツ健康科学部の柴田一浩教授は、「予算の面も含め、県教委だけでは解決できない問題。県内44市町村の首長や議会にも改革を進めていくようお願いしたい」と話した。
茨城県教委は今年2月、大学教授やPTA関係者らによる有識者会議を設置。会議は5回の会合を重ね、提言案を検討してきた。
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知りたい
今朝、長野県の記事を読んで、部活動の地域移行が進まない原因を再認識した。教員の組合は「部活動顧問を引き受けるか否かに選択権を与えて欲しい」と談判したとのことであったが、県教委は「顧問(任命)は校長の職務命令の対象」として自らの責任を逃れる回答をしたそうだ。
この問題を解決に進めるためには、高体連、高野連、高文連のトップと話し合う過程が不可欠であるが、教委はそれが面倒なので嫌なのだろう。長野県は古くから教育県として知られているが、この辺りについては旧態依然としているようだ。私も部活動指導の地域移行こそが現代的かつベストな解決策だと考えるので、組合の思いが実現するよう、遠くから祈っている。
素晴らしい。「休日限定」に不満が残るが、大きな一歩である。別の記事で発言していた県内の高校野球関係者は面白くないようであるが、部活動指導の廃止は大きな流れであるから、廃止後に不都合が起こらないように色々策を巡らせるのが関係者の腕の見せ所であろう。他の都道府県も是非続いて欲しい。
私自身は学生時代に部活動で多くのことを学んだので、それ自体を否定するつもりはない。しかし、今更の話ではあるが、経験の無い教員を(特に運動系の)部活顧問に据えるのはどう考えてもおかしい。文科省および教育委員会は、地元の高体連・高野連・高文連と率直に話し合い、意見を聞くべきだ。「学校における部活動指導を廃止する方向だが、何か良い知恵はあるか」と。
教員の過重労働に端を発して明るみに出た問題であるが、元々おかしなことを(文科省や教委が)やらせていたのだし、(やらなくても良いのに教員が)していた(orやらされていた)のである。それを正常な状態に戻さなければならない。そうすれば遅まきながら、教師が再び「やり甲斐のある職」に返り咲ける日が来るかもしれない。