プレコンセプションケア 若い世代の認知度は1割程度 啓発する側は「妊娠や避妊は本人に決める権利がある」という意識を

プレコンセプションケアについて、保健師から学ぶ学生ら=岐阜市の岐阜大で
プレコン、知っている学生は?
「プレコンセプションケアという言葉を聞いたことはありますか?」。7月初旬、岐阜大(岐阜市)の教室で、岐阜県子育て支援課の保健師宮沢由紀子さんが問いかけた。出席した1年生ら55人の中で、挙手した学生は一人もいなかった。
同県が2025年度から大学や高校で開く出前講座。宮沢さんは「妊娠前からの生活習慣が自身や子どもの健康に影響する」と説明し、年齢とともに卵子の数が減り、質も下がること、やせすぎは生理不順や不妊リスクを高めることなどを紹介した。一方、結婚や子どもを希望するかどうかは一人一人に決める権利があると強調し、「正しい情報を理解して人生設計を考えて」と呼びかけた。出席した1年の女子学生(20)は「今まで妊娠や出産について考えることを放棄していた。今のうちに食事や運動など気を付けるべきことはたくさんあると分かったので、もっと知識をつけたい」と話した。
プレコンの概念が提唱され始めた頃は、妊娠前の肥満や糖尿病による母子の死亡が問題になり、無事に産むための女性の健康管理が目的だった。次第に概念の幅が広がり、性別を問わず、将来の健康のために、若い時期から知識や生活習慣を身に付けることが重視されるようになった。日本では15年、国立成育医療研究センター(東京)が初めてプレコン外来を設置。21年には、政府がプレコンの推進を掲げた成育医療等基本方針を閣議決定した。
背景には、▽妊娠前のやせすぎや肥満▽出産の高齢化によるリスクの高い妊娠や低出生体重児の増加▽望まない妊娠の相談増加-といった問題がある。こども家庭庁は今年、プレコンの普及に向けた計画を策定。今後5年間で、啓発を行う「サポーター」を5万人以上育成するなどと決めた。
妊娠出産の推進にならないよう
啓発に力を入れる自治体も増えている。東京都は23年から、都内在住の18~39歳を対象に「TOKYOプレコンゼミ」を実施。医師が講師を務め、これまで計6000人が受講した。都を含め、医療機関で卵子の数などを調べる検査の費用を助成する自治体もある。
プレコンに詳しい北海道大大学院医学研究院の前田恵理准教授(公衆衛生学)は「若いうちに人生設計や生涯の健康づくりに役立つ情報を知ることは大切」と評価する。一方で、内容によっては妊娠出産の推進と捉えられかねず「発信者側には、性や生殖については自分で決めることができる権利だという意識が求められる」と指摘。「子どもを望まないときの対策もプレコンの一つ。妊娠を目指す健康管理と、避妊の啓発を両輪で進める必要がある」
こども家庭庁によると、多くの調査で、若い世代のプレコンの認知度は1割程度にとどまる。前田さんは、若い世代を対象に会社の健診で情報提供するなど、「既存の保健活動にプレコンの概念を織り交ぜていくことが重要」と話す。
プレコンセプションケア
プレは英語で「~の前」、コンセプションは「妊娠・受胎」のことで、「妊娠前の健康管理」を意味する。将来の妊娠や体の変化に備え、性別にかかわらず、自身の健康に向き合うことを促す取り組み。2006年に米疾病対策センター(CDC)が提唱し、12年には世界保健機関(WHO)が「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義した。
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