広がるフェムテック市場 テクノロジーでトラブル解決 社員の生理や不妊治療に寄り添う企業も

市川千晴 (2025年2月16日付 東京新聞朝刊)
 女性(フィメール)の健康課題を技術(テクノロジー)で解決する製品やサービス「フェムテック」市場が伸びている。デリケート部位や薄毛など女性特有の体の悩みに向き合う商品もある。福利厚生の一環として、複数のフェムテックを導入し、社員の生理や不妊治療などの悩みに寄り添おうとする企業も増える。
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「ラビオームは、男性も利用しやすいユニセックスデザインにした」とするロート製薬のシンドウ・サンガベルさん(左)と多田律さん=東京都港区で

デリケート部位洗浄剤 ロート製薬

 矢野経済研究所の調査では、2023年のフェムテック市場は、前年比8%増の約750億円と拡大を続けている。

 「においや不快感の原因にもなる汚れが落ち、多くの人が使用感に満足して頂いています」。ロート製薬が来月発売するデリケート部位洗浄剤「ラビオーム」について、マネジャーの多田律さんは説明する。

 デリケート部位は、他の部位より皮膚が薄く刺激に敏感。脱毛による肌トラブルや、出産回数の減少による生涯の生理回数の増加、更年期の女性ホルモン減少などの影響もあり、同社調査で、20~40代の女性の61.2%がかゆみ、46.8%がにおいに悩みを抱えたことがあることが分かった。女性器に乳酸菌が存在していることに注目、商品を設計した。

 同社は、日本で初めて妊娠検査薬を一般用医薬品として発売するなど女性の健康支援を続けている。開発に携わったシンドウ・サンガベルさんは「これからも女性を応援し、ウェルビーイングな社会の実現に貢献したい」と話した。

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リアップリジェンヌについて打ち合わせをする大正製薬の担当者ら=豊島区で

抜け毛のための発毛剤 大正製薬

 フェムケア機能が再認識されるロングセラーもある。分け目が薄くなる、抜け毛が増えるなど壮年性脱毛症向けの発毛剤「リアップリジェンヌ」。大正製薬が11年に発売した医薬品だ。

 イベント「フェムテック東京」に2年連続で出展、昨秋、12年ぶりにテレビCMを復活した。商品開発部の瀬戸山友里さんは、薄毛に悩む40代以降の女性は少なくないと指摘。「1日2回6カ月(24週間)続けると発毛効果が認められる。悩みを抱える人は薬剤師に相談してほしい」と話す。

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ポーラは社内の個室トイレで生理用品を無料配布している=品川区で

働きやすい環境づくりで導入 ポーラ

 働きやすい環境づくりのためフェムテックを導入したのは化粧品販売製造のポーラ。不妊治療をはじめとするセミナー動画配信など健康支援ツールの導入、生理用品の無料利用、低用量ピルのオンライン処方などを採用。女性の健康経営などに取り組む異業種との合同プロジェクトも実施した。

 人事戦略部の広川直子さんは「社内文化の醸成や、男性社員の理解促進、有休取得推進など職場改善につながった」と話している。 

元記事:東京新聞デジタル 2025年2月16日

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