うーちゃんの寝床 いろいろな問題があるけれど…〈古泉智浩さんの子育て日記〉64

(2025年8月20日付 東京新聞朝刊)
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キッチンカウンターの下に作られた、うーちゃんの秘密基地

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一人で眠るようになったうーちゃん

 小2のぽんこちゃんは、僕の部屋で寝ていて、毎晩のようにぬいぐるみを1体ずつ持ち込むため、ぬいぐるみであふれて困ります。小5のうーちゃんは、これまでおばあちゃんの部屋に布団を敷いて寝たり、ママと同じベッドに寝たり。小5でそれではあまりに甘えん坊では、と危惧していました。自分の部屋もベッドもあります。

 そんなうーちゃんが、リビングで1人で寝るようになりました。キッチンカウンターの下に寝床を作り、小さなテーブルを置いて移動式の棚や引き出しを配置し、秘密基地のようにしています。周りに椅子、専用のティッシュペーパー、ゴミ袋を引っかける針金でできたスタンド、ヘルメットのおもちゃ、さらに漫画を床に重ねて置き、洋服なども置きっぱなし。散らかって、かなりのスペースを占有しています。

 そこで寝るのはいいけど、人が歩くところにはみ出さないように、床に置いてあるものは部屋に片づけて、と注文しました。そうしてスペースを小さくして毎晩リビングで寝ています。

 僕はショートスリーパーで夜中、必ず目が覚めます。録画しているNHKの大河ドラマ「べらぼう」や朝の連続テレビ小説「あんぱん」を夜中にリビングで見ていたのですが、できなくなってしまいました。仕方なく、自室でぽんこちゃんの横でヘッドホンを着けて、Netflixを見ています。

「パパが来ても起きないように…」

 それでも目が覚めて喉が渇いていたらリビングに行って飲み物を用意します。キッチンの明かりをつけるし、冷蔵庫を開け閉めする音や、氷を取り出してコップに入れる音が出ます。それで目を覚ましたうーちゃんが、おばあちゃんのスマホを朝まで見ていたという事件が発生しました。

 うちは子どもがスマホをいじるのはいろいろな理由で禁止です。目を覚まさせるのは申し訳ないけど、そもそも共有スペースを使っているのが問題で、僕が夜中に飲み物を取り出すのはなんら問題ありません。自分の部屋で寝ろと言いたいのですが、言いません。陰湿でしょうか。

 「あなたがここで寝るのはいいけど、僕も飲み物は出したい。だが眠りを妨げるのは申し訳なく思っていて、そうならないためにはどうしたらいいと思う?」と質問を投げかけました。

 「自分の部屋で寝る」と言ってくれ、と強く念じました。うーちゃんはしばらくじっと考え込んで言いました。「パパが来ても起きないように早く寝る」なるほど、そうだね。リビングで寝るブームが去るまでドラマはお休みです。

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)

 漫画家。養子の11歳男児うーちゃんと、7歳女児ぽんこちゃんを育てる。

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