大学入試で周囲の物音に困ったら 手を挙げて監督者に訴えよう 席の移動や注意などの対応も
集中できず後悔「受け直せるなら…」
読者の長男(17)は、中部地方のある大学で受験。長男によると、問題の受験生は前の席に座っており、大きな声で独り言をつぶやいたり、試験中に監督者の制止を振り切ってトイレに立ったり、いすをたたいたり。だが、監督者が注意することはなかったという。
長男は苦情を言えないまま試験が終了。悔いが残っており、「受け直せるものなら受け直したい」と話したという。
大学入試センターによると、例年、センターや会場の大学には試験中や終了後、「せきがうるさい」「貧乏ゆすりが気になる」などの声が寄せられる。
監督者には対応マニュアルがある
試験中に周囲の受験生の奇異な行動などで、解答上の支障があると苦情を申し出たい時には、手を挙げて監督者に知らせることができる。すべての監督者に、こういった時の対応についてのマニュアルが配られており、センターの担当者は「適切に対応することになっている」と語る。
実際に試験中に苦情の申し出があると、監督者がその状況を確認。解答に支障があると判断した場合は、スペースが許せば、苦情を申し出た人か、物音などを立てている人かのいずれかを、教室内の離れた席や別室に移動させて受験してもらうという。
申し出がなくても 「書面で注意」
受験生から申し出がなくても、明らかに支障をきたしていると監督者が判断すれば、物音を出す受験生らに注意の書面を示して改善を促すこともある。「いずれの場合も、双方の受験生の心理面に十分配慮しながら対応している」という。
対応が難しいのが、試験が終わった後に苦情を申し出られたケース。過去には、再試験になったこともあるが、試験会場側に明らかな落ち度がある場合に限られ、かなりまれという。
今回、本紙の取材に対し、センターが該当の大学を通じて、試験室にいた全監督者に状況を確認。問題の受験生の状態については認識していたが、周囲の解答に支障が出るほどの奇異な行動や物音ではないと判断したという。
大学はセンター試験運用を参考に
私立大や国公立大の個別試験ではどうか。受験生への苦情の対応は各大学の判断になるが、多くの大学ではセンター試験の運用を参考にしているという。
ある国立大の入試担当者は「監督者が試験時間中にすぐに対応することは難しいが、休憩時間中に関係者と相談の上、対処するようにしている」と語る。
「気後れせず、挙手して伝えて」
愛知県内の私立大の担当者は「試験に集中している時に、無意識にシャープペンシルをかちかちと鳴らすなど特異な行動をとる受験生もいて、対応が難しいこともある」とも吐露。今年も独り言を発している受験生がおり、試験中に書面を示して注意したという。
この担当者は「周りの騒音などで試験に集中できないと感じる時は、申し出てもらえれば、何らかの対応をしやすいが、申し出がないと、支障がなかったとみなされてしまう可能性がある」と指摘。「ぜひ、気後れせずに挙手して監督者に伝えてほしい」と呼び掛けている。
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