「ゆる部活」始まってま~す! 運動苦手でもOK、気軽に体を動かそう
「軽運動部」…1時間×月2、3回で掛け持ちも可能
小さな板をキックで割るイメージで!」。東京都世田谷区立船橋希望中学校の武道場で、「軽運動部」の活動が行われていた。メニューはボクシングを基にしたボクササイズ。アップテンポの曲が流れる中、講師の高橋真弘さん(33)の掛け声に合わせ、部員と練習が休みだったテニス部員ら約20人が汗を流した。
活動は午後4時から、たった1時間。2年生の三輪一博さん(14)は「運動が苦手な自分にも無理なくできて汗をかけるのが楽しい」と笑顔。同じく2年生の泉綾乃さん(14)は「集中してストレス解消になる。演劇部の活動とか他にやりたいこともできる」と話した。
「強豪部はちょっと…」の生徒も気軽に
軽運動部は昨年4月に発足した。活動は月2、3回で、ボールを使ったトレーニングやダンスなどメニューはさまざま。短時間ということもあり、他の部活との掛け持ちも可能だ。菅野茂男校長は導入の理由について「運動に興味はあっても、強豪部に入るのは躊躇(ちゅうちょ)する生徒もいる。気軽に体を動かせる場をつくりたかった」と説明する。
外部講師を積極的に招き、教師の負担軽減も図る。顧問で保健体育教諭の伊藤小百合さん(38)は「子どもたちが放課後こういうふうに過ごしたい、という思いに応えたい。基礎的な体力を付け、その後のスポーツライフの幅を広げてあげたい」という。
「本来の部活動のありかたでは」
ゆる部活の取り組みについて、早大スポーツ科学学術院の中澤篤史准教授(スポーツ社会学)は「子どもたちが自分で時間の使い方をマネジメントできる本来の部活動のあり方ではないか」と評価する。
一方、スポーツ庁の調査では約3割の中学校で入部が強制されるなど自主的、自発的な活動となっていない点について、ガイドラインの踏み込み不足を指摘。「子どもたちのやりたい、という気持ちを上回って学校や教師がやらせているケースが多い実態がある。教育的効果があると信じすぎるのではなく、教員も生徒も忙しい今の教育現場の実情に照らして部活動を再考すべきだ」と話す。
スポーツ庁も「行きすぎた練習」是正を議論
スポーツ庁の有識者会議は昨年5月から、行き過ぎた練習による生徒の心身への悪影響や指導教員の負担などを是正する方策を議論してきた。計8回の会議でガイドラインをまとめ、今月19日に各都道府県教委に通知した。
中学校の部活動については、休養日を平日1日以上、土日1日以上の週2日以上とするほか、活動時間を「平日2時間、休日3時間程度」とする上限も示した。合理的で効率的な練習をするため、各競技団体が練習メニュー例や安全面の注意事項などを作成し、学校現場に広げていくことも求めている。
競技力の向上以外にも、友だちと楽しめる、適度な頻度の活動など、多様なニーズに応じた運動部の設置も提示した。
高校についても「原則として適用」としている。
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