ネパールの母親たちに安定した仕事を NPOチャリティーサンタが募金呼び掛け
フェルトのマスコット人形を手作り
NPO法人チャリティーサンタは、クリスマスイブの夜、メンバーがサンタクロースにふんして、各家庭を訪れるプロジェクトに取り組む団体。その際に使う衣装を2013年からネパールの工房に発注し、工房の利益の一部を子どもたちの教育支援にあてる活動もしてきた。活動を通して、代表の清輔夏輝さん(36)は「親が安定的に収入を得られなければ、子どもたちも教育を受けることができない」と感じ、2016年から「Santa Mothers Dream」のプロジェクトを始めた。
プロジェクトは、日本人のハンドメイド作家がデザインしたサンタやトナカイなどフェルトのマスコット人形をネパールの工房に発注。工房で女性たちが作ったマスコットは、期間限定で日本の書店や雑貨屋などで販売する。売り上げの一部が、女性たちの現金収入になる仕組みだ。
電気や水道などのライフラインも十分に整備されていないネパール。清輔さんは、電力や複雑な機器を使わなくてもできるものを、と考え、ネパールでも盛んに作られているフェルト製の小物に着目したという。
自分の力でお金を得ることが自信に
現在、工房で働く女性たちはトレーニング中の人も含め7人。国全体が、コロナの感染拡大防止のためロックダウン中のため、今は自宅で作業している。多くが、夫が国外に出稼ぎに出ており、一人で子どもたちを育てながら働いているという。現地でとりまとめ役のミナ ラマさん(29)は、「今まで職場に行って働き、収入を得る経験をしたことがなかったお母さんたちは、自分の力でお金を得ることができ自信を手にしている」と笑顔を見せる。
十分な教育が受けられず、読み書きもできない女性がほとんどのため、製品を作るための指示書やチェックリストが読めなかったり、距離や重さの概念が分からずに戸惑ったりという苦労もあった。ミナさんは「少女時代に勉強してこられていたら、簡単にできていたこともたくさんあったはずだ」と言う。
「女性に勉強はいらない」にNO!
ミナさん自身も貧しい家庭で育った。故郷のラムチェ村などネパールの山間部では、女性が学校に通うことに否定的で、家庭の貴重な労働力である女性には、教育も学歴も不要だと考える大人たちが多かった。だが、学ぶことが好きだったミナさんは、家の仕事をこなしながら、勉強を続けたという。「勉強をしていたら何かが変わるかもしれない」。努力を重ねたミナさんは、ネパールで支援活動をしていた日本人との出会いをきっかけに、日本からの奨学金を受け、高校、大学へと進むことができた。今は教育支援やネパール地震の被災者への支援活動などに取り組む。
「女性もできないことはない。都市部は少しずつ変化しているが、娘は結婚して家で仕事をするのだから、勉強しても何もならないという家庭での考え方も変える必要がある」とミナさん。「自分が学校や支援活動を通じて学んできたことをみんなに教え、サポートしていきたい」と意気込む。
NPOでは、女性たちの人件費や工房の賃料、新商品の「クマ」のマスコットの試作にかかる費用の200万円を目指し、5月28日までクラウドファンディングを実施している。清輔さんは「クリスマスシーズンだけでなく、年間通じた販売ができる製品を作りたい。販路が広がり安定させることで、より多くの女性たちに仕事をつくることができる」と協力を呼び掛けている。詳しい情報はクラウドファンディングサイトREADYFORの「フェルトマスコットでつながる国際協力|ネパール女性の仕事を作りたい」で紹介している。
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