〈えほん〉「とわちゃんとシナイモツゴのトトくん」作・田島征三

(2021年9月10日付 東京新聞朝刊)
写真 「とわちゃんとシナイモツゴのトトくん」

(長壁綾子撮影)

 小さな池にひっそり暮らしていたぼくらを、とわちゃんが見つけてくれた。ある日、ぼくらの池は埋め立てられることになり、とわちゃんとお母さんが、すてきな池に移してくれた。そこは小さな生き物たちが集まる場所。すみかや仲間を失いながらもトトくんは生き続ける。

 主人公は国の絶滅危惧種であるシナイモツゴ。作者が主宰する「絵本と木の実の美術館」のビオトープには、多様な生き物が息づく。命の源である水を人間のエゴで汚さないで。大胆な筆遣いで生き物の躍動を描く作者の思いだ。1650円。ひだまり舎=電話050(3707)2328。

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