埼玉県初の子どもの権利条例制定へ 北本市議会で全会派が連携 「安心して生きられる」
体罰やいじめ救済する擁護委員を設置
条例案には、憲法の基本的人権の尊重や日本も批准している子どもの権利条約の理念に基づき、子どもの権利を明記する。北本市が取り組むべき啓発や権利を保障するための具体的な施策を盛り込んでいるのが特徴だ。
子どもが体罰やいじめなどの権利侵害を受けた時に救済する仕組みとして、擁護委員を設ける。委員は受け付けた相談や申し立てを調査し、必要に応じて学校など市の関係機関には是正措置を勧告、それ以外には是正を要請できるとしている。
また、市の施策について市は「(子どもが意見を表明する)機会の確保に努める」としたほか、子どもの意見を求めるために「子ども会議」を設置できると定め、意見を尊重する仕組みを導入している。
推進議員「市の認識が不十分だった」
条例制定に向けた市議会特別委員会の渡辺良太委員長(35)=啓和会=と桜井卓副委員長(48)=市民の力=によると、子どもの権利を巡っては、これまで市の認識が不十分と思われる場面があったという。
一つは2019年3月議会で市が提案した「いじめ防止対策推進条例案」。北本市内では2017年、中学校教諭が会員制交流サイト(SNS)で生徒になりすまし、同じ中学校の生徒を中傷する問題があった。しかし、同条例案には先生からのハラスメントを防ぐ規定がなく、市議会は条例案を否決。その後に先生からのハラスメント禁止規定が加えられて成立した。
小学校廃校、子どもの意見を聞かずに
もう一つは20年3月議会で提案された、市内の小学校を廃校とする条例案。市は事前に保護者や地元住民の意見を聞いたが、当事者の子どもたちの声は聞いていなかった。
市議会は一連の市の姿勢を問題視。昨年9月に全会派から議員が参加して勉強会を立ち上げ、今年6月定例会で特別委を設置した。渡辺委員長は、条例によって「権利侵害を受けた子どもたちに逃げ場がある、助けてくれる場があるという状況ができる」と意義を強調。桜井副委員長は「子どもを大切にしないまちに未来はない。条例制定によって(子どもたちを)総合的にサポートしていきたい」と話した。
特別委は今月22日まで子どもを含む市民らから意見を募集した。今後は条文を精査し、来年にあらためてパブリックコメント(意見公募)を実施する予定。
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