子どもの脳はどう育つ?(2)脳の発達知れば 効率的な教育時期が分かる?
滝靖之(東北大加齢医学研究所教授) (2017年11月1日付 東京新聞朝刊)
皆さん、こんにちは。前回、子どもたちの脳は神経細胞同士のネットワーク、つまり道がどんどん作られ、よく使う道は「高速道路」に、使わない道は壊されていく-という話をしました。
そもそも、なぜ生まれてすぐに多くの道を作るのでしょうか。それは、環境への適応性を上げるためといわれています。当然ながら、私たちはどの国のどのような環境の下に生まれるかは、生まれる前に自分で決めることができません。
そのため、どのような環境や言語の下でも可能な限り適応できるよう、最初に多くの道を脳の中で作る、と考えられています。
ただし、道が多いということは、維持するための労力もたくさん使うことになります。つまり、無駄な道が多いと、消費するエネルギーも多く非効率になります。そのため、よく使う道は高速道路にし、不用な道は壊すことで効率を上げているのです。
道を作ったり壊したりする過程は、脳の部位によって起きる時期が異なっていることが分かっています。
例えば、脳の中の後ろにある「後頭葉」と呼ばれる領域は、生まれてからとても早い時期に変化が起きます。一方、前頭葉、特に前の方である「前頭前野」という領域は、思春期によりダイナミックに変化するのです。
脳の発達のタイミングを理解することは、いつどのような教育をすると効率的かということにもつながります。これらは連載の後半で解説していきます。
子どもたちの脳の発達は、道を作り、使わない道は壊すという流れで進みます。
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