川崎市立小で2年超のいじめ「中学受験しないヤツはバカ」けがやPTSDも 市教委が重大事態調査しなかった理由「年度末でもあったので」
竹谷直子 (2022年6月9日付 東京新聞朝刊)
川崎市立小学校で2016~18年、男子児童が同級生から継続していじめを受けていたにもかかわらず、学校や市教育委員会が把握後も、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態調査」を行わず「対応に空白が生じた」とする調査報告書を第三者委員会がまとめ、市教委が8日発表した。児童は心身の不調を悪化させ、卒業後の2019年9月に保護者が再び要望し、調査に着手したという。
卒業後も不調が続きようやく調査へ
報告書などによると、男子児童は4年生だった2016年から、同級生の男子児童1人に「バカ・クズ」「中学受験しないヤツはバカ」などと言われ、担任にいじめを訴えていた。担任が両方に指導するなどした後も、手首を引っかかれて5センチほどの傷ができたり、体育で後ろから接触され、転倒したりした。
嘔吐(おうと)や不眠、歩けなくなる症状も出て、6年時の2018年12月ごろから不登校に。自殺願望を訴え、2019年1月には心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。保護者は2018年12月に学校に連絡。2019年3月には重大事態調査を求めたが、川崎市教委は「児童のケアを優先する」として行わなかった。
卒業後、児童と同級生は別の中学に進んだが、同年5月には刃物を手に飛び降りようとするなど不調は続いた。保護者が9月に再度重大事態としての調査を求めたことで、市教委は第三者委員会に諮問した。
第三者委が指摘した「対応の空白」
国のガイドラインでは、児童や保護者から申し立てがあったときは重大事態が発生したとして調査・報告に当たることとしている。川崎市のいじめ防止基本方針も不登校は年間30日を目安としこれにかかわらず迅速に調査すべきだとする。
市教委の担当者はこの日の会見で調査をしなかった理由を「調査となると手続きもある。年度末でもあったので話し合いを優先した」と説明。不登校が続いたことについても「30日を超えたからといって必ずやるというものでもないと思っている」と弁明した。
調査報告書は市教委の対応に対し「重大事態調査が卒業までに開始されていれば、対応の空白もなかった」「(被害児童の心身症状について)当該校・当教委においても専門家の見解を踏まえつつ、対処すべきであった」と指摘した。
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結局、いじめは拗れると「第三者委員会」に委ねられる。現場の教員は勿論、教育委員会にも文部科学省にもいじめを解決する能力は無い。理由はいじめが教育案件ではなく、犯罪案件であるからだ。教育現場で起きているいじめと大人の世界で起きているいじめは本質的に同じである。(大人も自分から声を上げることは難しいが)子供の多くは自分から「いじめられているから助けて」とはなかなか言いにくい(下手を打つと、いじめがエスカレートするから)。そこでいじめの臭いを嗅いだのなら、教員は入念な事情聴取後に警察にUSBを預けてしまうのが最良の方法なのだ。学校は「いじめは犯罪なので、学校は解決できない」と言い切ってしまおう。また、学校で起きているからこそ、いじめは現場では解決が難しい。なぜなら多くのケースで、被害者と加害者が同所で生活しているからである。文部科学省や各自治体の教育委員会はこんな単純な理屈がなぜ理解できないのだろうか。早急に法務省と話し合うべきではないか。被害者ばかりが泣き寝入りする社会は我が国だけでも終わりにしようではないか。
一地方都市の私学教員です。教員の数が本当に足りていません。現場は一杯一杯の状態です。持ち帰りの仕事も当たり前で、働き方改革なんてどこの話?と言うのが実態です。先生方だって皆さんと同じ、一日が24時間の普通の人間です。サボってなんかいません。生徒たち一人一人ときちんと向き合いたい。でも、一人がこなさねばならない仕事の量が余りにも多すぎるのです(憲法の言う『苦役』って、もしかしてこれじゃないのかな?とまで思います)。
仕事の量がこのまま減らないのであれば、教育予算の倍増、教員の倍増、そして一クラス当たりの生徒数の縮減を本気で実現して欲しい(ドイツなんて遥か以前から一学級の定員を17名にしているのに。ナチスに学べ、ではなく、今のドイツに学ぶべきです)。
楽をしたいから、手を抜きたいからこんな事を言っているのではありません。生徒も先生もこのままでは安全が保障されないから叫んでいるのです。