東京23区 高校生の医療費を完全無償化 2023年度から、所得制限なし

三宅千智、土門哲雄 (2022年6月22日付 東京新聞朝刊)

会見で説明する特別区長会長の山崎孝明・江東区長=東京都千代田区の東京区政会館で

 子どもの医療費助成の対象を現在の中学生から高校生まで拡大する東京都の方針を巡り、23区長でつくる特別区長会の山崎孝明会長(江東区長)は21日、都内で記者会見を開き、23区で来年度から全ての高校生の医療費を無料にすると明らかにした。

都の助成に区の財源を上乗せ

 都の助成分に加え、区が自主財源で上乗せし、所得制限なく高校3年まで完全無償化を実現する。

 山崎会長は「産み育てやすい東京をつくるという観点から医療費助成は所得制限で差別をするべきではない」と説明した。

 医療費助成については、都が1月、高校生に拡大すると発表。所得制限(4人家族で年収約960万円)を設けた上で、通院1回当たり200円を自己負担とし、残りを都と区が半額ずつ負担すると想定する。

 しかし、実施主体の区市町村と事前協議がなかったため、区などが反発。都は3月、所得制限は設けたまま2023年度から3年間に限り、区市町村分も都が負担すると表明した。今回、23区では所得制限を超える世帯の医療費や自己負担分の200円を区の自主財源で補い、中学生までと同様に一律無料にすることを決めた。

26市はどうなる? 都と協議へ

 一方、4年目の2026年度以降の財源は不透明で、都と区側で協議を続ける。山崎会長は「大事なことは来年度からスタートできるようにすることだ」とした上で、4年目以降の財源について「都の提案事業なのだから都がすべて負担するべきだ」と強調した。

 東京都によると、高校生への助成で都が新たに負担する費用は年間50億円。担当者は「円滑に開始できるよう準備を進める」としている。26市長でつくる市長会も高校生への医療費助成を実施するために都と協議を加速する方針だが、所得制限なしで無償化するかどうかは「各市の判断」(市長会事務局)という。 

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年6月22日

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