保育所、幼稚園、認定こども園…複雑化する就学前の保育・教育制度 こども家庭庁発足でどう変わる?
待機児童対策で「量」は拡大したが
就学前の子どもの通い先のうち、厚労省が所管する保育所は1948年施行の児童福祉法で設けられた。一方、幼稚園は文科省の所管で学校教育法に基づき運営される。所管の違う「幼保二元体制」が長く続いた。
待機児童対策もあり、内閣府と厚労省、文科省が関わる「認定こども園」が新設されたのは2006年。従来は3歳以上が通っていた幼稚園に2歳以下も受け入れ、教育時間終了後も保育する「幼稚園型」など、成り立ち別に4種類を設定した。
その後も待機児童解消の名の下に、さまざまな制度が継ぎ足され、施設の多様化が進む。2015年には「子ども・子育て支援新制度」が始まり、市区町村が認可して0~2歳児の預け先となる小規模保育事業が新設された。保育士の有資格者の有無などでA-Cの3タイプに細分化。保育士資格なしでも研修修了者がいればよい「家庭的保育事業」や、従業員の0~2歳児らをみる「事業所内保育事業」なども追加された。
新制度では、保育士や幼稚園教諭の資格がなくてもよい形態が生まれた。「国の規制緩和で『認可』の中にも差を生み出した。それ以降、基準の低い認可外の保育施設も公然と認める流れにつながった」。村山祐一・帝京大元教授(保育学)は新制度の弊害を指摘する。
園庭がない… 広がる「質」の格差
2016年には内閣府所管の「企業主導型保育事業」も新設。「事業所内保育事業」と違って市区町村の認可は不要で、職員は半数以上が保育士なら良いなど基準が緩い。にもかかわらず、認可施設並みの手厚い助成金で後押しした。当時の安倍政権の待機児童対策の目玉として始まり、2022年までに定員10万人超の施設が都市部などに整備された。ただ助成金目当ての事業者の参入も目立ち、架空工事や整備費の水増し請求も各地で発覚した。
施設の多様化で「選択肢が増えた」と歓迎の声もあるが、都市部では園庭なしの認可保育所が増えるなど環境の格差は広がった。保護者団体「保育園を考える親の会」(東京都豊島区)の2022年度の調査では、園庭保有率は千代田区17.4%、中央区18.4%などと2割以下の区もある。村山元教授は「政策は子どもの育ちや環境を中心に考えるべきだ」と話す。
こうした保育施設は4月から基本的にこども家庭庁の所管に移るが、幼稚園は文科省に残った。縦割り行政が成育環境の平等や業務効率化に向けた「幼保一元化」を阻んでいる。
配置基準と労働条件の見直しが急務
こども家庭庁には保育現場の環境改善や、行政の手が及びにくい未就園児への支援に期待がかかる。
厚労省の2022年4月1日時点のまとめでは、待機児童は全国で3000人を下回った。希望する保育所に入れないなど課題は残るものの、2017年の約2万6000人から大きく減った。
保育施設の「量」が充実したためとみられるが、保育士不足や園庭のない保育所の増加など「質」の問題は今も残る。例えば保育士1人で4・5歳児30人を受け持てるという国の最低基準は1948年から変わらない。また、東京都の実態調査(2018年)では保育士の退職理由の上位に「給料が安い」「仕事量が多い」が挙がり、労働条件の見直しも急務といえる。
未就園児を預かるモデル事業に着手
従来の課題に加え、こども家庭庁は保育施設や幼稚園に通わない未就園児の支援も手がける。2019年度時点の推計で、未就園児は1歳で53万人(55.2%)、幼稚園の受け入れ可能年齢となる3歳でも3.3万人(3.5%)いる。中には、保護者が外国出身で日本の保育制度を知らない▽保護者に被虐待歴や精神疾患がある▽子どもの発達に課題がある▽経済的な困窮-などの背景があるケースもみられる。
支援策の1つとして、こども家庭庁は2023年度、保育所などの空き定員を活用して未就園児を定期的に預かるモデル事業を始める。週1~2日のペースで預かり、保護者面談などを通じて継続的に支える方針だ。
これらの施策のベースとなる「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」は、2023年度中に策定される。指針に関わる有識者懇談会メンバーで、認定NPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」理事の高祖常子(こうそ・ときこ)さんは、未就園児支援について「子どもは保育所や幼稚園に通うなどし、近い年齢の子や保育士らと関わる中で成長する。専門職の目が入ることは虐待を防ぐ意味でも重要」と強調する。
こども家庭庁はプッシュ型の支援を
また、こども家庭庁はデジタル技術の活用推進も掲げる。高祖さんは「支援を必要とする親ほど、時間や心の余裕がなく、子育てサービスに届かないことが多い。困っている人に行政側から情報を届けるプッシュ型の支援や、申請などのデジタル化が必要だ」と話す。
こども家庭庁は「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」を文科省と共同で策定するなど連携を強化する。同庁には、子ども施策で他省庁の対応が不十分な場合に是正を求める「勧告権」もあり子どもの権利を守る司令塔として機能を果たせるか注目だ。
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知りたい
先ず、保育士不足。教員不足。の解消が必要ですよ。
働き方改革というが、業務が増えてしまい。若い人が頑張っているが、モチベーションが下がってきている。
処遇改善がある。とは言え、税金、年金で引かれて手取りが増えない。物価高騰で一人暮らしもやっとのことの保育士が多い。
保育の業界から若い人が減っていきますよ。
2019年の息子は認可は入れず。市役所の対応は冷たいもの…「認可外行ってください。1歳はもっと認可は入れないですよ」と。でも市は2019年から待機児童ゼロと言っているようです。
幸い補助金のでる認可外保育園がとてもよくて卒園までお願いする予定でした。でも市の保育園が毎年乱立し、認可さえ定員割れ。息子の園は閉園となりました。
ダメ元で優遇措置はないのか市役所に行きましたが、規則ですの一点張り。県が管轄だからわからない、保育園が何も言ってこないのが悪いと…。市役所は関係ないという姿勢を崩しませんでした。
保育園の先生が市役所にチラシを置かせてほしいとのお願いにも、「ここは認可の窓口だからむり」と冷たかったそうです。認可も認可外もうまく共存できるようにするのが財政じゃないんでしょうか…。
田舎の市役所で幼保業務を担当していますが、とにかく制度が複雑で分かりにくいです。
国の役人は制度を複雑化することで仕事をした気になっているのでしょうが、地方の教育・保育現場は、新しい事務への対応、保護者への説明等でとても疲弊しています。
こども家庭庁で一本化といいつつ、法律は乱立状態、整理する気はないのでしょうか。
このまま制度の継ぎ足しを繰り返しても、負担が増えるばかりです。何とかしていただきたいです。
企業主導型保育園で勤めていますが、受け皿の数が多くなり他園と子どもの争奪戦です。
選んでもらえる保育園であるために、あの手この手で頑張っていますが、現場の職員の給料は上がらずモチベーションも上がりません。職員の9割がパートで、いいように使われていると感じるのが本音です。
365日開所、7時〜20時開所。保育時間が長すぎることで子どもも不調になります。
保育園が社会に合わせるのではなく、社会が保育(=未来人育て)に合わせてもらえると日本は変わると思います。
保育士は質の高い未来人を育てる仕事。そう思うとほんと時給安いと思います。
受け皿を増やす前に保育園の現状を見てほしい。母親のメンタル、虐待 様々な事情の親子を支援しながら 日々の業務は増えるばかり。休憩は満足にとれる時間も場所もなく、休暇も取りにくい。給料はあがらない。
育児の孤立を防ぐ=保育園に入れればいいではないと思う。子どもを産み 育てるということの早期からの学習や体験などを経て 周りの助けを得ながら 子育てができる環境を整えるのが先なのでは?
現場を知らない人が考えた無茶な政策になぜ従わなければいけないのかがわからない。保育士のメンタルや過労死が増えるだけだと思う。
健康なのに働かず、生活保護を受けて生活し、無償で保育園に通わせる。そしてまた次の子を産む。そしてまた預ける。
たくさん産めば手当が増える。
親はそのお金で遊び、子どもの衣服はボロボロ。きちんと食べているのかも怪しい。
そんな方もいます。
無償化だけで本当に子どもたちが健康に、幸せに育つのか疑問に思います。
仕事してないと子供は預けにくい。経済的に余裕があってもあともう一人は難しいなと思っていた。待機児童もなくなって、保育園に余裕ができ、専業主婦でも預けやすければ、あともう一人の妊娠、出産、赤ちゃんの間の大変な時期も乗り越えられるかもと希望が持てる。
箱物増やしても、支える人がいなければ意味なし
人材確保や育成、配置基準、待遇等同時進行しないと
長い間、小中高の教員をしていて、縁あって保育園にかかわることがあり、保育士免許をとり、来年3月に新たに園を立ち上げるメンバーの一員となりました。
保育士の給料が低い要素ですが、小中高の先生方の多くは、保育園は遊ばせて面倒を見るだけ程度に考える傾向がありはしないか。教員は自分たちの仕事の方が上で大事なんだと捉えている傾向にあると思います。そういう考えが行政や会社として立ち上げている保育園の中にも少なからずそう思っている傾向があるのではないでしょうか。
小学校1年生を担当した時に、こんなこともできるんだと感心してしまう場面を多く見てきました。それは保育園や幼稚園の生活で培った生活力があってのこと。小学校では少人数制の授業が導入されて何年も続けられている学校が多いなか、1人の保育士が30人もの子どもと関わっているケースは考えられません。義務教育と関連付けが必要ではないでしょうか。
ある市に聞いたところ、6年度には全ての子どもを保育園で受け皿を用意する計画を立てているようですが、離職している保育士を集められると自信ありげです。我々世代は苦労してでもなんとか保育園に通わせた世代の親にとっては、今の政府の異次元の考え方はに不公平感いっぱいです。なぜ、働きがいを保証する、保育士、幼稚園の先生方の働きに見合った給料を上乗せする事を考えないのでしょうか。
待機児童をなくす為に、次々、保育園を新設したが、園庭は無い・公園も無いと環境までは、追い付いていない状況
公園に散歩に行っても、込み合っていて、遊べずに、周辺を散歩して園に戻る事も・・公園難民という言葉もあるほどです。
保育園とは・・建物があれば良いのか?と言いたくなる事も、1948年以降配置基準も変わっていない事も失礼な話で、今の保育園は、子供のお世話だけでなく、親の面倒まで見なくてはいけない事も・・
そんな中、給料も上がらず大変な仕事です。
待機児童解消が政策の目玉となっていたが、それは都心部のこと。地方じゃ過疎により保育施設の運営も困難になってくる。都市部も地方も同じ制度でするのは無理があるのではと感じる。
幼保一元化と言っていたのに、いつの間にか多元化していく。文科省、厚労省、そして家庭庁。役所も多元化ですね。
自分の子どもを誰かに預けるのですから、場所や、内容を、もっと考えても良いのではないかと思います。親の都合にあわせるのは仕方ないけれど1日の大半を過ごす場所は、子どもにとって良い場所であってほしい。
3ヶ月以内に次の勤務先を見つけないと保育園はやめさせられる。ゆっくり雇用保険をもらいながら次のステップへ‥なんて余裕はない。働かなくてもいいかとの思いもあるが、4年通って友達もできて先生や園の体制にも慣れ、子供のために働かないとと‥。本来働く人のための保育園が、保育園に通わせてあげるために働こうとしている!?どこでも選ばせてよ。働いてようが無職でも幼稚園でも保育園でも。幼稚園にかわってまたイチからなら、あと一年やそこら待機児童でいいよもう(笑)楽しく生活したい!!!
園庭の広さが質ではないです!!見出しがなんだか誤解を生みそうだなと思いまして。
保育の質は人の質!!
どれだけ園庭が広くたって放置をしていたら野生児ですし。どれだけ立派な保育をやっていても先生が裏表のある人なら人として育ちません。狭くても毎日公園や地域の力を借りて遊んでいたり、室内が充実してたり丁寧に関わっている先生がいれば社会性と自己をしっかり育つことができます。