学校の”指導死”をなくしてほしい 中1自殺の「因果関係」認める報告書まで5年半、父親が実名会見
冬休みの講習で登校した帰りに…
加藤さんの長男碧さん=当時(13)=は2017年12月26日、冬休みの講習のため登校。同日午後、学校近くの板橋区内の駅で電車に飛び込み死亡した。
加藤さんは息子の死因を学校にただしたが、学校側の指導との因果関係を否定した。
再三の交渉の末、学校は2019年、弁護士ら8人でつくる第三者委員会を設置。学校は昨年1月23日、加藤さんに最終報告書を手渡した。加藤さんは一般にも公表するよう求めたが、学校側は応じなかった。
水泳部の顧問で担任の「決めつけ」
最終報告書によると、死の前々日、加入していた水泳部の顧問教諭が、自分に年賀状を書くようにと、碧さんら部員に自宅住所を伝えた。碧さんは、顧問教諭がクラスの教科担任でもあり、同級生も年賀状を出せるようにという善意からクラスのグループLINEに教諭の住所を載せた。これを知った顧問教諭は悪意のある行動と決めつけた。
その翌日、近隣のゲームセンターで両替機に忘れた金がなくなったとして、客から学校へ同校生徒の関与を疑う通報があった。顧問教諭ら3人の教諭が碧さんに対し、関与しているという予断を持って聞き取りを実施。碧さんは否定し続けた。そして水泳部の部室に寄った後、駅に向かった。
報告書では、一連の指導には「一定の問題があり、自死との間に事実的因果関係がある」と結論づけていた。
第三者委員会は 公立と私立の違い
加藤さんは「息子の命が失われてから49カ月もたって、それまでの学校の説明と大きく異なる事実を知らされた。第三者委員会も、公立と違って私立は、被害者である私たちが加害者である学校に調査をお願いするしかなかった」と振り返る。
碧さんの多くの同級生が、調査に協力してくれた。中高一貫校で学んだ同級生たちが今春、高校を卒業したのを機に、実名での公表に踏み切った。
碧さんは小学校の卒業式で、将来の夢は「宇宙飛行士になります!」と声高らかに宣言したという。加藤さんは「事件を知ってもらうことで守れる命、防げる自死があるならと思い公表した。指導死を繰り返さないでほしい」と力を込めた。
不適切指導の予防と徹底調査を 遺族団体が要望
文科省とこども家庭庁に提出
文科省は、生徒指導に関する学校・教職員向けのガイドライン「生徒指導提要」を作成。昨年12月、ネットいじめ、ブラック校則など時代の変化を踏まえて改訂した。
改訂作業に際し、会は繰り返し文科省に要望。改訂版では、不適切指導の実例を記すなど、会の要望が随所に反映された。
会には、加藤さんも名を連ねる。2013年に部活顧問から不適切な指導を受けた後に自殺した札幌市の高校1年の男子生徒=当時(16)=の姉が要望書提出後に記者会見し、「提要の改訂後、国会でも『不適切指導が子どもの不登校や自殺につながる』という答弁が出るようになった。どういう行動が不適切指導なのかが、より先生方に分かるように指導のあり方を伝え続けてほしい」と訴えた。
なるほど!
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知りたい
そもそも人格が未成熟な人間が多数集まっている学校は、様々な問題が起こるところである。「(問題が)起きてはならない」のかもしれないが「起きても不思議ではない」のだ。
文科省や教育委員会にお願いするが、現場の管理職が「問題の中身を正確に報告できる」ように状況を整えてはもらえないか。彼らの多くは問題が起こったことを「自分の責任」と思い込んでしまい、後々の自分たちの人事上の処遇等を心配する。
そこに「隠蔽」の生じる土壌がある。勿論、管理職によるヒラ教員へのハラスメント等は本人たちに責任があるので除外されるが。