赤ちゃん食器「iiwan」出産祝いに人気です 持ちやすく安全、植物由来で地球に優しい
トウモロコシのでんぷん+乳酸菌
子ども食器ブランド「iiwan(いいわん)」は、トウモロコシのでんぷんに乳酸菌を加えてできるポリ乳酸という樹脂だけで作られた食器。製造する豊栄工業(愛知県新城市)で、運営と広報を担当する近田佳乃子さん(30)は「植物由来の原料で地球環境にも優しい」。ホームページでは「日本でいちばん、あんしんな食器をつくる」とPRする。
豊栄工業はもともと、自動車向け内装部品の金型や医療機器の製造に携わる。安全性の高い素材としてポリ乳酸に注目し、現在の美和敬弘副社長(51)が「自分の子どもに使わせたいベビー食器を」と開発に取り組んだ。粘性が高く加工の難しい「特殊な素材」を、丈夫で電子レンジや食洗機でも使える器にする技術を生みだし、2017年に文部科学大臣表彰科学技術賞を、2018年には第7回ものづくり日本大賞で内閣総理大臣賞を受けた。
乳児院に寄贈 社会課題の解決を
デザインも安全が最優先だ。けがをしにくいよう「基本的に全部丸く」とバイオプラスチック事業企画課の美和敬一課長(50)。転がりにくくするため底面を厚くし、上から押さえ付ける動きが多い小さな子でも持ちやすいように取っ手の上端は器の最上部に。スプーンやフォークは握りやすいようアーチ状に仕上げた。
2015年からは東海地方の乳児院への寄贈を開始。母親の産後うつが原因で親と暮らせない子もいると知った。離乳食期は特に母親の負担が大きい。「家族が仲良く過ごすためのサポートや、社会的な課題解決にも取り組みたい」と近田さん。「離乳食で仲良し家族に」「ママはもっと手を抜いて」などと呼びかけるワークブックの配布も始めた。
丸みを帯びた器とともに、赤ちゃんの安全と家族の幸せを願い、届ける。
材料費は通常の8倍でも…共感呼ぶ
ポリ乳酸は石油から作るプラスチックに比べて材料費が8倍ほどかかる。製造工程などで工夫を重ねてもコストを下げるのは難しいが、豊栄工業の近田佳乃子さんは「値段も含め『赤ちゃんに安全を』とのコンセプトに共感してくださる方が多い」と説明する。
iiwanは全国の百貨店やセレクトショップなどで販売している。販売店は豊栄工業のiiwan公式サイトで検索できる。オンラインショップもあり、人気の7点セットは税込みで1万1154円。色やセット内容を自分で組み合わせる商品もある。
(日本政府の海外向けCM動画でも、iiwanが「技術革新で海洋プラスチック問題に挑む日本」というテーマで紹介された)
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