「うんちふくたんとうのかた~」4歳に呼ばれて湧き出る使命感〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉
お米で困ってます。うちではいつも、お米は7合ほど一度に炊いて、家族6人、ひと月30キロ。それが、このたびの米価格の高騰で、以前と比べて月に1万2000円ほど高くなったわが家の米代。年間でプラス14万円。きつい。「売るほどある」と言った人もあったが、だったら安く売ってほしい。
先日、長男は修学旅行で京都、奈良に行ってきた。もう中3なので、さすがにお土産は「木刀」ではなく「宇治抹茶八ツ橋」「柚(ゆず)入りカステラ」「奈良しかまろくんアーモンドフィーユ」。ご当地感をしっかり押し出したセレクトのお土産を食べていて思い出した。長男は小学生の時、「お土産」の漢字を「おとうさん」と読んでいたこと。かわいかった。
「うんちふくたんとうのかた~」。トイレにいる四男に呼ばれる。いつの間にか担当になっていた。他にも「ココア作る担当」「スプーンとフォーク運ぶ担当」などがあって、「担当」と呼ばれると、不思議と使命感が湧いてくる。
それで「うんち拭く担当」の際の話。「拭いても紙に何もつかない」ことが、3度に1度くらいの高い確率で起こった。「立つ鳥跡を濁さず」ならぬ、「四男紙を汚さず」。兄たちにはなかった鋭い切れ味。「また何もついてない!」と僕が驚くと、「みせてみせて」と四男も得意げ。
しかし、まだ真っ白い紙をトイレに流す段になると、僕は少し損した気持ちになる。でもそのあと「手は洗わなくていいんだった」と気づいて、すごく得した気持ちになる。と担当者の心のうちを妻に説明すると、「いや、手は洗うでしょ」と面倒臭そうに言った。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。14歳、12歳、8歳、4歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
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