<記者の視点>パパが育休を取るのは「すごい」のか 児童館で感じた戸惑い

曽田晋太郎 (2022年12月23日付 東京新聞朝刊)
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政治部・曽田晋太郎記者

2カ月の育休 甘い気持ちを恥じたい

 「そんなことやってないで、ちょっとは手伝ってよ」「携帯なんかいじってないで、目を離さないで見ててよ」

 妻の怒りの矛先は私に向いている。

 9月上旬から2カ月、育児休業を取った。家族と触れ合う時間が増え、少しはのんびりできるかと考えていた当初の甘い気持ちを恥じたい。実際は慣れない子育てに大忙し。ハイハイができるようになった息子は、朝起きてから寝るまで目が離せない。それまでの平日、一人で子育てをしていた妻の大変さを身をもって感じた。

「パパ、今日は会社お休みですか?」

 さて、日本では男性が育休を取りやすくなったのか。厚生労働省の雇用均等基本調査によると、直近の女性の育休取得率が85.1%なのに対し、男性は13.97%にとどまる。実に6分の1という低水準だ。

 その背景や要因はさまざまだろうが、依然として「男性は仕事、女性は家庭」という考え方が社会に根付いていることもありそうだ。というのも、私自身、育休中に息子を連れて近所の児童館に行くと、周囲のお母さんたちから物珍しそうな視線を浴びることが多かった。

 「パパ、今日は会社お休みですか」。そう尋ねられ、「今、育休中なんです」と答えると、一様に「すごい」という反応が返ってきて、戸惑うことも少なくなかった。確かに、周りを見ても週末でもない限り、日中に児童館にいるお父さんは1、2人だった。

前例がない? 同僚に迷惑がかかる?

 政府は2025年までに男性の育休取得率を30%とする目標を掲げ、育児参加を促す。10月には子どもの誕生から8週以内に最長で計4週、2回に分けて休める「産後パパ育休」制度が始まった。中央省庁では昨年度の男性国家公務員の取得率が34.0%に達している。

 徐々に変化の兆しは見えているが、職場で前例がなければ育休取得をためらう気持ちは理解できるし、同僚に迷惑をかけるのではと心配してしまうのも分かる。権利があっても、行使しづらい「空気」の存在を無視できないこともあるだろう。

「政権の最重要課題」とは言うが…

 他方、今年の出生数は過去最少を更新し、初めて80万人を割り込む見通しだ。少子化に歯止めを掛けるべく、誰もが子どもを産み、育てやすい環境をつくることも待ったなしの課題と言える。岸田文雄首相は少子化対策を「政権の最重要課題の一つ」と位置付けるが、昨今の防衛力強化の議論に比べてスピード感に欠ける印象は否めず、危機感は伝わってこない。

 私は2カ月ではあったが、育休を取って子育ての苦労を知り、育児への意識が変わるきっかけになった。少子化の今、国が掲げる男女共同参画やワークライフバランスの視点は特に重要だ。男性の育休取得を含めた社会の理解醸成と一人一人の意識改革は、この国の将来を見据える上で急務のはずだ。 

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  • 匿名 says:

    古稀を迎えたバァバです。

    子どもが産まれた頃、出産休暇が取れた夫(外資系企業)は友人とスカッシュをしに出かけました。それを変とも思わない自分がいました。

    誕生した息子には、男女差を意識することなく育てたいと思い、言葉遣いにも色使いにも生活の上での作業についての教え等などにも人間として取り組めるよう育てました。ところが幼稚園に入った途端に息子の口から「男はーーーするもの」「お母さんがやればいい!」などの言葉が出るようになり、母親一人の気づきの虚しさを感じました。その後も「お握りをきちんと握れる男の子はスゴイ」「男の子が包丁ご使えるなんて」と枚挙にいとまがありません。

    40年経ってもまだこの世代が生き残っているのですから、今の子育て世代は大変だなぁと思います。でも日本が直面している少子化の中で、子育て世代の皆んなが幸せに暮らせる術を少しずつでも獲得してほしいものです。子育ては、本当に大変なのです‼︎

    育休を取られたパパ、その心意気をずっと持ち続けて、家族の一員として子育てを担ってください。

     女性 70代以上

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