〈中倉彰子さんの子育て日記〉24・1歳のころ

(2014年3月14日付 東京新聞朝刊)

 

中倉彰子さんの子育て日記

親に取材

 先日、長女のマイ(8つ)が「ひろがれわたしのものがたり」という用紙を持って、インタビューをしたいと、私の所へやってきました。学校の宿題で、自分の小さいころの話を親に取材し、クラスのみんなの前で発表するとのこと。

 「わたしの1歳のころはどんな様子でしたか?」とマイ記者。

 うーん、どんな時期だったかなぁ? マイが3歳の時に次女が生まれ、その2年後には長男。3人の記憶がゴチャ混ぜになり、長女の1歳のころが、すぐには思い出せません。母子手帳や日記を取り出し、読み返してみました。

 「最初に話した言葉は「パパ」です」(これは怪しい。夫の陰謀があるような)

 「マイと公園に。マイは、遊具のお馬さんに乗るのが大好きです」。そういえば、マイをベビーカーに乗せて、ミルクとオムツを持って、よく公園に出掛けたっけ。

 マイが寝たのを見計らって、詰め将棋を解いたりして。制限時間は、マイが起きるまで(笑)。

振り返ればいとおしく

 当時を懐かしんでいると、目の前にいる長女はもう8歳になったんだ、ずいぶん成長したものだと感慨深いものがありました。

 宿題では1歳のころの写真も必要とのこと。押し入れにしまってあったアルバムを引っ張り出しました。

 次女のマキ(5つ)は、マイの赤ちゃんのころの写真を見て、「これマキじゃない?」。確かにうり二つです。マキは自分のアルバムも広げだし、「わ~小さいねぇ」「ここの公園また行きたーい!」などと、興奮状態です。

 長男シン(3つ)も「シンのアルバムはどれ?」と聞いてくる。「これだよ」と青いアルバムを出すと、最後の方のページがかなり余っている。長女のあふれんばかりの写真と比べ、末っ子の分はあまりに少ない。

 デジタルカメラや携帯に撮っても、プリントしてアルバムに貼るまではしていなかったのです。シンはまだ気が付いていない様子。時間を見つけて貼っておくからね。

 こうしてみんなで時々アルバムを広げて見るのはいいですね。子どもの成長の過程が見て取れ、バタバタした日常も、振り返れば懐かしく、いとおしく思うに違いない。この一瞬が大切な時間に思えてきます。

 インタビューを終えたマイは、何だかとてもうれしそう。親にとっても良い宿題でした。(プロ棋士)

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