〈中倉彰子さんの子育て日記〉48・ママのモテ期

(2016年9月30日付 東京新聞朝刊)

中倉彰子さんの子育て日記

2人でデート

 次女のマキ(7つ)に「ママはシン(6つ)ばっかりかわいがっている」「ママとデートしたい」と言われ、2人でデートコースを考えたのが先月までのお話。その後マキは「いつにする?」と何度も聞いてきます。仕事がたまり曖昧に答える私に、マキはついに業を煮やし「今度の日曜にするから、約束だよ!」と半ば強引に決めてしまいました。

 当日、マイ(11)は部活、シンは伯母夫婦にお願いすることに。車に乗ると、マキは何やらゴソゴソ。少し照れながら「プレゼントがあるんだけど」と手作りの花瓶をくれました。花瓶にはバラの造花が挿してあり、リボンには「ママへ」の文字。前に、「ママこっちに来ないで」と言って作っていたのはこれだったのね。うれしいサプライズ。マキが将来男の子とデートをする時はこんなプレゼント作戦をするのかしら(笑)。

 まずは、デパートでショッピング。最近マキは化粧に興味があるみたいで、時々私の化粧品を使おうとします。テスターの口紅をつけてみたり、口紅や良い香りのするハンドクリームをつけたりして楽しみました。ネイルコーナーでは「あーこんな色を爪に塗ってみたい」。私はネイルや化粧品には疎いので将来、はやりモノの情報を、マキが教えてくれるようになるのかなーと想像して、わが子がちょっと頼もしく思えました。

誘われているうちが花

 喫茶店でマキは「デートといったらパフェだよね」。いったい何のテレビを見たのやら。パフェが来る前に、持ってきた宿題を一緒にやりました。「今日はデートだからガミガミにならないぞ」と決めていたのに「鉛筆の持ち方が違うよ」「漢字の書き順ちがうよー」って、やっぱりいつもと同じ…。なんでこんなに私、口うるさいんでしょ。

 パフェはマキ1人では食べきれないほど大きく、若いカップルみたいに一緒に食べました。最近、マキの笑顔を見ていなかった気がします。3人姉弟の競争から離れ、ゆっくり母子2人で過ごす時間も、たまにはつくってあげないとなと思いました。でも伯母から電話があり、シンのお迎えの段取りの話をしていると、急に機嫌が悪くなり「まだこれからシールとか買いにいけると思ったのに~」とブーたれ始めます。まあデートの終わりは寂しいものですから。

 家に帰ると「次は僕だからね!」とシン。デートのお誘いでしたら、もっと優しい口調でお願いしますよ。でも、誘われているうちが花ですね。(プロ棋士)

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