〈奥山佳恵さんの子育て日記〉45・泣いていた自分に伝えたい 次男は私ソックリに育ったよ

(2023年10月18日付 東京新聞朝刊)
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恥ずかしいくらいソックリな、私とダウン症のある次男

奥山佳恵さんの子育て日記

私も言われた「また調子に乗って!」

 わが子にダウン症があると知った瞬間は、ショックで頭の中が真っ白になり、腕の中の小さな彼の上にポタポタと涙が落ちた。ダウン症ってなんなんだろう、の検索をし続ける毎日。これからどんな毎日がやってくるかを考えると恐ろしく、これまで過ごしてきた場所にはもう二度と戻れないんだと嘆いた。特にさめざめと泣いていたのは、ダウン症の子がみんな同じような顔をしているように見えたこと。親のワガママだと承知の上で、わが子なのに染色体の異常で、私たちには似てはくれないんだと思うと悲しくてならなかった。

 ところが。12年という月日を経た彼の見た目は、親バカで申し訳ありませんが、とってもかわいい。そして何より驚いているのは、次男の中身が私ソックリに育ったこと(笑)。一言で表現すると「お調子者」。私は、小さい時から「また調子に乗って!」と周りの大人たちから叱られ続けてきた。調子に乗り続けた挙げ句、今のお仕事へとつながった感もある。叱られてもめげないお調子者でよかった!

 次男は私と一緒で、人に笑ってもらえることが大好き。お気に入りのギャグも多数あり、マイクは持ったら離さない。マイクがなかったらお箸を使う。ウケたらどんどん場を盛り上げようとするので「また調子に乗って!」と、かつて言われ続けてきた言葉を今はわが子に向かって言っている。夫には「自分を見ているみたいで恥ずかしいでしょ?」とまで言われる。はい、ものすごく恥ずかしいです。

 ダウン症のある親子100人でキャンプをしたことがある。ご両親とお子さんを見比べてみたら、みんなちゃんと親御さんに似ていた。わが家と同じく、内面もそう。「人見知りなところがお母さんから受け継いでるね!」とお友達と笑い合うこともある。大丈夫。やってくる未来はこれまでと同じ場所だよと、泣いていた頃の私に伝えてあげたい。

 先日、イベント出店していたお友達のブースに遊びに行ったら、良いものがたくさんあるのに販売の仕方がとても控えめだったので、頼まれてもいないのに店の前で売り子をした。するとたまたま通りかかった次男が、頼んでもいないのに売り子をしだした。2人してそろって「いらっしゃーい!」と声をかける私たちの写真を撮る夫。「また調子に乗って!」とは、夫はもう慣れすぎているのか、言いもしません(笑)。

奥山佳恵(おくやま・よしえ)

 俳優・タレント。2011年に生まれたダウン症の次男を育てる。長男はすでに成人。

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