〈坂本美雨さんの子育て日記〉88・娘はますます旅のよきパートナーに

(2025年4月16日付 東京新聞朝刊)
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「日本秘湯を守る会」のスタンプ帳にワクワク。次はどこへ行こう?

坂本美雨さんの子育て日記

娘と気ままな車の旅

 長めの春休みを満喫して、親子で春休みロスから抜けられないまま4年生がスタート。娘はクラス替えもなく先生も同じで新鮮味がないようだけれど、これからさらに深まっていく人間関係と先生のクラスへの愛情によって、いい一年になる予感がしている。

 この春休みは珍しくしっかりお休みをいただいて娘と過ごした。まずは、娘がここ数カ月習っているヒップホップの発表会という家庭内一大イベントがあった。一緒に通っている友人たちと支え合って大きなステージに立った様子に胸を打たれた。と同時に、母は母で「送迎やヘアスタイルなどあーでもないこーでもないとよくがんばった私たち!」とママ友たちと乾杯したのだった(のめないけど)。

 次の週は、温泉とドライブが大好きな娘と以前から約束していた気ままな車旅。1泊目の宿だけ決めて気分で次の日の行き先を決めることにして、まずは温泉に詳しい知人におすすめされた新潟のぬる湯の秘湯へ。

 車で走ること3時間半、自然豊かな魚沼市の左右に雪が積み上がったゆるい山道を上ったところに出現する、大正時代からの歴史のある自在館。「日本秘湯を守る会」の提灯(ちょうちん)に迎えられ、趣のあるラウンジでくつろいでいると、「これどうやって使うの?」と娘が黒電話の受話器を手にしている。ぎーこぎーこと番号を回してみせ、半信半疑の娘の顔に笑ってしまう。

いつまでママと…

 お風呂は名物のぬる~いラジウム泉を含み6つもあり、1泊では堪能しきれないほど。お部屋のこたつにとろけたこと、ザアザアと常に聞こえていた川の音、夜は薄暗い廊下をぎゅっと手を握って歩いたこと、温泉までの62段の階段を2人で数えたこと、朝ごはんのお魚の干物を娘が「ちょっと~動かないでよ~」と言いながらほぐしていて、2人で笑ったこと…。なにげない思い出がたくさん。自在館、本当にいいお宿でした。

 その後も、新潟でもう1軒、山形、福島、栃木と温泉を巡り、行き当たりばったりにご当地ラーメンを食べたり、湖で水鳥にごはんをあげたり、友達の故郷で初対面のお母さんとお風呂に入ったり(笑)。どの瞬間も楽しくて楽ちんで、娘はますますいい旅のパートナーになってくれていた。

 だんだんと友達と過ごすほうが楽しくなってきたこの頃。お布団を並べて、いつまでママと2人旅とかしてくれる?…といううざい質問をグッとこらえながら、眠りについたのでした。

坂本美雨(さかもと・みう)

 ミュージシャン。2015年生まれの長女を育てる。SNSでも娘との暮らしをつづる。

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  • ごうごうちょび says:

    毎月楽しみにしています。とっても素敵な春休みを過ごしたおふたりの姿が頭に浮かびほっこりしました

    ごうごうちょび 女性 60代

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