子どものスマホ依存が深刻、健康も学力も… 全国の養護教諭が危機感「政府の責任で何とかならないのか」

長久保宏美、榎本哲也 (2026年4月17日付 東京新聞朝刊)
 全国の医師らで構成する全国保険医団体連合会(保団連)は4月16日、31都道府県の小中高や特別支援学校、義務教育学校(小中一貫校)を対象にした調査で、回答したほぼ半数の46.2%の学校で、スマートフォン・ネット依存が疑われる児童・生徒がいたと発表した。主に各校の養護教諭からの回答で、実数は少なくとも8415人に上る。政府は、こども家庭庁などが青少年のSNSなどを含むスマホ利用の公的規制のあり方について検討を進めているが、一定の規制が必要だとの声もある。(長久保宏美)
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子どもの「スマホ依存」が深刻な事態となっている(写真はイメージ)

保団連の4700校調査 46%の学校が…

 調査は、医療機関への受診が必要とされた児童・生徒がその後、適切に受診できているかを調べる「学校健診後治療調査」の一環で2025年9〜10月に実施。スマホ・ネット依存について調査したのは初めてで、対象の2万4569校のうち4785校(回答率19.5%)が回答した。

 具体的には、各校の養護教諭に「スマホ・ネット依存(SNSやゲーム含む)で、学校生活に支障を来している(遅刻・欠席・居眠り・学業に身が入らないなど)とみられる児童・生徒はいますか」と質問した。

 「いる」と回答したのは2212校で、全体の46.2%に達した。明確に「いない」としたのは1005校(21%)。1412校(29.5%)が「把握していない」とした。

「取り上げると、包丁を持って暴れる」

 「いる」と回答したのは、学校種別では中学校で57.8%を占め、義務教育学校も53.2%と、それぞれ半数を超えた。小学校は42.3%、高校が40.3%と4割台だった。

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子どものスマホ依存などについて話す全国保険医団体連合会の細部千晴さん(右)=16日、東京・霞が関の厚労省で(池田まみ撮影)

 自由記述では、親がスマホを取り上げると、包丁を持って暴れるなど深刻な事例も多数報告された一方、国にSNS規制を求める意見もあった。

 この日、厚生労働省で会見した保団連理事で小児科医の細部千晴さんは、オーストラリアや欧州などで、16歳未満のSNS利用を規制する動きに触れ、「日本に法的な規制がないのは(利用とその影響の)データがないからだ。そうした状況で今回の調査をした。学校現場ではメディアリテラシー教育をする必要がある」と指摘した。

保団連の調査に寄せられた具体例

・6年生の児童がゲームができないことを理由に自宅で暴れ、ゲームをやるために近所のビジネスホテルに宿泊した(千葉の小学校)

・スマホゲームの課金がやめられず親のクレジットカードを勝手に使い、歯止めがきかなくなる(千葉の中学校)

・小学5年の女児がスマホでYouTubeやTikTokを見続け、寝不足のため学校を欠席、遅刻しがち。母がスマホを取り上げると暴言、暴力をふるう(東京の小学校)

・不登校の生徒がSNSで通話し続け、その友達と薬の過剰摂取(オーバードーズ)や飲酒をするようになった(東京の中学校)

・タブレットを授業に関係ないことで使う。ゲーム依存の診断で入院した(長野の中学校)

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養護教諭の嘆き「学校対応には限界が」

 東京都内の公立の小中学校に勤務する養護教諭が東京新聞の取材に応じた。スマホ依存が原因とみられる子どもたちの健康問題やトラブルは深刻で、学校は対応に追われている。ある養護教諭はスマホ依存の問題は社会課題になっているとして、「政府の責任で何とかならないのだろうか」と頭を抱える。(榎本哲也)
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スマホ依存の影響とみられる児童や生徒の現状について訴える養護教諭たち=東京都内で

視力低下、睡眠不足…

「スマホが当たり前じゃなかった頃は小学校入学時は、ほぼ全員が『A』(視力1.0以上)だった。今は0.3が少なくない。低学年で0.1未満という子もいました」。小学校に勤務する養護教諭が明かした。

 中学校の養護教諭も、生徒の3分の1が眼科での検査が必要な状態だ、と明かす。「左右の目が違う方向を向く」など斜視とみられる、眼位の異常がある生徒も増えている。「液晶画面を見続ける影響でしょうか」

 睡眠不足も深刻だ。ある中学では、全学級の3分の1に遅刻者がおり、午後に登校する生徒も。夜中にゲームやSNSを見続け、起きられないのだという。

AIだけを信じてしまう

 姿勢を保つことができず、授業中もぐだっと机に前かがみになったり、直立不動できずにふらつく子どももいる。「頭痛やめまいを訴える子も増えています」と養護教諭。中には、そもそも保護者がスマホ依存という家庭も少なくなく、児童・生徒の生活習慣や健康にも影響している、とみる。例えば、両親が明け方までゲームに熱中し、朝ご飯を食べずに登校する児童もいた。

 目の前の教員や家族の言葉を聞かず、常にスマホの中の生成人工知能(AI)の答えだけを信じてしまうケースもある。

 スマホを温床とした事件も少なくない。欧州などでは子どものSNS規制が強化されていることを背景に、取材に応じた養護教諭は、日本でも法規制の必要性を感じている。「スマホは健康にも学力にも影響があって、トラブルも増えている。その対応を、学校に押しつけるのは限界がある」

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高校生の6割超が「1日に5時間以上」

 こども家庭庁が3月末に公表したインターネットに関する2025年度の調査報告書によると、10〜17歳のネット利用率は99.0%だった。利用する機器はスマートフォンが79.2%で最多だった。(長久保宏美)

グラフ 平日1日あたりのインターネット利用時間

「勉強に集中できない」

 平日1日あたりのネット利用時間は、小学生(10歳以上)が28.8%、中学生が48%、高校生が63.3%で5時間以上利用していた実態が明らかになった。9時間以上と回答した高校生もいた。スマホの利用目的は「SNS・メール等」が87.4%で最多。「動画視聴」「検索・調べもの」と続いた。

 ネット上でのトラブルなどについて尋ねた項目では、小学生(10歳以上)の14.5%、中学生の24.5%、高校生の26.2%が「インターネットにのめりこんで、勉強に集中できなかったり、睡眠不足になったりしたことがある」と答えた。

 9歳以下のネット利用は2歳で6割を超え、小学校入学前の5歳で約8割(保護者の回答)に上った。

 調査は2009年度から毎年実施しており、今回は昨年11〜12月に調査。10〜17歳の子どもとその保護者各5000人、0〜9歳の子どもの保護者3000人を対象にした。

元記事:東京新聞デジタル 2026年4月17日][元記事:東京新聞デジタル 2026年4月16日

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