千円札に十円玉が…載った! 子どもが喜ぶ科学マジック、外出自粛の今こそ〈藤嶋先生と家でできる科学実験・上〉
石川修巳 (2020年4月1日付 東京新聞朝刊)
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、できるだけ外出を自粛するように呼び掛けられています。そこで「良い本を読もう」を東京新聞で連載した川崎市名誉市民の科学者、藤嶋昭さん(78)=中原区=に、家でできる科学実験を教えてもらいました。キーワードは「身の回りにある不思議」です。
「身の回りにある不思議」出前授業がライフワーク
藤嶋さんは、抗菌や汚れ防止、空気の浄化など、地球をきれいにする技術として注目される「光触媒(ひかりしょくばい)」現象を世界で初めて発見。2017年に文化勲章を受章しました。
ライフワークのひとつが、子どもたちに科学の面白さを伝える出前授業です。地元の川崎市や戦時中に疎開した愛知県豊田市など、全国の小中学校などに出かけています。けれども、新型コロナウイルスの感染拡大で、軒並み中止になりました。
「出前授業でいつもやっている科学マジックが、これ。垂直にした千円札の上に十円玉を載せます」と藤嶋さん。材料は、千円札と十円玉だけ。「子どもにウケる科学手品77」(後藤道夫著、講談社)を参考に、栄誉教授を務める東京理科大学(東京都)の事務所が即席の実験室です。
両手でピンと張った千円札に、十円玉を載せるのは至難の業。そこで、お札を真ん中で二つ折りし、ほぼ直角になるように広げて、その角に十円玉を載せます。お札の両端を持って、ゆっくり引っ張ると…。
なぜか落ちない十円玉 「不思議体験」が発想を豊かに
「ほら、千円札をまっすぐ開いても、十円玉は落ちません」
実は、千円札を引っ張る時の摩擦で、十円玉はゆっくりと重心を移動。紙一枚の薄さの上で、十円玉は重心を探りながら、絶妙なバランスを保っているのです。「子どもたちの前で披露すると、『えー』ってびっくりしちゃって」とニッコリ。
こうした「不思議だな」という体験が、発想を豊かにする、と藤嶋さんは語っています。「身の回りの不思議さに気づくと、毎日が発見ですよ」
次回は、藤嶋さんが自宅キッチンで自ら実験した不思議を紹介します。
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