動く卒業アルバムが登場 コロナ拡大で伝えきれなかった思いを映像で 葛飾・青戸小で準備
加藤健太 (2020年4月21日付 東京新聞夕刊)
新型コロナウイルスの感染拡大で卒業生を十分に見送れなかったとして、東京都葛飾区の小学校の校長が最新技術を駆使した演出を準備している。伝えきれなかった子どもたちへのエールを映像に収め、卒業アルバムに収録した。児童が校長や教師の写真にスマートフォンをかざすと、画面上で映像が再生され、メッセージが流れる仕掛けだ。
1分半の校長メッセージ カメラにぶつけた
臨時休校中の区立青戸小で17日、渡辺浩校長(58)がカメラの前で切り出した。「卒業生のみんなと過ごした6年間とても楽しかったです。学んだことをいかして世のため人のために頑張れ!」。1分30秒にあふれる思いを込めた。
卒業アルバムは、3月25日にあった卒業式の写真も載せるため製作中で、6月に子どもたちの手に渡る。見た目は一般的なアルバムだが、スマホのカメラを通して見ると、画面上で写真が動きだし、音声も流れる「動く卒アル」になっている。
先生の顔写真にスマホをかざすとメッセージ
活用した技術はAR(拡張現実)と呼ばれ、スマホゲームや地図アプリなどに広く取り入れられているが、卒業アルバムに使われるのは珍しい。地元のコンサルティング会社エムズが「卒ARu(アル)」と名付けてサービスを開発し、今回が導入第一弾。武田政揮社長(30)は「突然断たれてしまった関係を埋めるお手伝いをしたかった」と提案した理由を明かす。
校長先生に加え、担任の顔写真からもメッセージが再生されるようにする。また、アルバムの表紙にスマホをかざすと、校歌に乗せて校内の風景をまとめた動画が流れるようにする。運動会のリレーや合唱の様子も候補に挙がっている。
最も大切な3月一緒に過ごせなかったけれど…
昨年度の6年生は教諭や保護者を招く謝恩会を3月中に準備していたが、政府が全国一斉休校を要請したことを受け、臨時休校に入る直前の2月28日に「やりたい」と提案。6年間を振り返る寸劇や合唱を未完成ながら発表し、急きょ集まった教諭らに感謝を伝えた。
渡辺校長は「小学校生活で最も大切な6年生の3月を、一緒に過ごせなかったのが今も心残り。何とか気持ちを伝えられて良かった」と涙を浮かべながら話した。
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