コロナで変わるPTA 連絡はメール、総会はネットアンケートで参加者が増えた 運営側のIT導入をフォローする取り組みも
参加しやすい形が作れた
「コロナ禍を機にペーパーレス化できた」と話すのは、東京都文京区立根津小学校PTA会長の浅野由美子さん(42)だ。同PTAは臨時休校中の五月から、紙の書類で行っていた保護者への連絡を、全てメールで配信するようにした。「児童が保護者にお便りを渡し忘れる心配もなくなった」と利点を挙げる。
例年5月に学校で開いていた定期総会も開催方法を変更。会員240人にメールで資料を送り、インターネット上のアンケートフォームで各議案の賛否を募った。8割を超える会員198人が回答。昨年度の総会出席者数の約4倍だ。浅野さんは「より多くの人が直接賛否を表明できた」と手応えを語る。
会員からは「参加しやすかった」と好意的な意見が多かった。ただ、前例のない取り組みに、「試行錯誤の連続だった」と浅野さん。本部役員は必要な文書などを一から作り、学級委員に度重なるメール配信への協力を呼び掛けた。浅野さんは「保護者が会場に足を運ぶ負担は減り、参加しやすい形が作れた。来年度以降も活用したい」と話す。
会費減額したPTAも5割超
東京都小学校PTA協議会が6月、都内の公立小学校を対象に行ったアンケートには、208校が回答。総会を開催済み・開催予定だった122校のうち、会場開催したのは約1割で、アンケートフォームやメールなどを利用したところが大半だった。その他の活動についても、158校が「新しい取り組みをした」とし、そのうちの6割が役員会などにオンライン会議を導入。会費が決まっている176校のうち、昨年度と比べて減額したPTAも5割を超えた。
同協議会常務理事の増田光子さんは「コロナ禍をPTA活動の見直しのチャンスと捉えるという意見もあった」と説明する。半面、学校のネット環境を使えなかったり、メールの連絡体制が整っていなかったりという課題も。「ITに強い人がいないと対応が遅れる」との声があり、同協議会は8月、都内PTAを対象にオンライン会議の開き方を学ぶセミナーを開いた。
保護者向け講座は中止に
名古屋市立小中学校PTA協議会は「集まれないので総会が開けない」との声を受け、あらかじめ会員に資料を配って表決書を回収する紙面審議を提案。4月から必要書類の作成例を公式サイトで紹介している。
ただ、中止になったPTA行事も多い。その一つが、食育やマネー教育など子育てに役立つ保護者向け講座「家庭教育学級」だ。セミナー講師を紹介する一般社団法人「ファミリード」(東京)代表の星谷みよ子さん(52)は「コロナ禍だからこそ、『子どもをより良く育てるために親が学ぶ』というPTA本来の趣旨に立ち返る必要がある」と強調。オンラインも含めて講座を継続、再開する可能性を探ってほしいと望む。
コロナ禍の収束が見通せない中、各PTAで活動見直しの動きが加速している。星谷さんは「まずは、子どもや学校・地域にとって、必要な活動は何かを見定めることが大事」と指摘。「事務的な手間を減らしつつ、必要な活動を実施していけるように、利用できるものは取り入れて」と提案する。
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