コロナで変わるPTA 連絡はメール、総会はネットアンケートで参加者が増えた 運営側のIT導入をフォローする取り組みも

(2020年10月22日付 東京新聞朝刊)

 新型コロナウイルス感染への警戒が続く中、会議やイベントなど対面が中心だったPTA活動も大きな制約を受けている。連絡方法を紙からメールに切り替えたり、オンライン会議を利用したりして、保護者の負担軽減や活動の活性化につなげたPTAがある一方、情報技術(IT)をうまく導入できず、活動が滞ったケースも。現場の苦労と工夫を取材した。

参加しやすい形が作れた

 「コロナ禍を機にペーパーレス化できた」と話すのは、東京都文京区立根津小学校PTA会長の浅野由美子さん(42)だ。同PTAは臨時休校中の五月から、紙の書類で行っていた保護者への連絡を、全てメールで配信するようにした。「児童が保護者にお便りを渡し忘れる心配もなくなった」と利点を挙げる。

 例年5月に学校で開いていた定期総会も開催方法を変更。会員240人にメールで資料を送り、インターネット上のアンケートフォームで各議案の賛否を募った。8割を超える会員198人が回答。昨年度の総会出席者数の約4倍だ。浅野さんは「より多くの人が直接賛否を表明できた」と手応えを語る。

 会員からは「参加しやすかった」と好意的な意見が多かった。ただ、前例のない取り組みに、「試行錯誤の連続だった」と浅野さん。本部役員は必要な文書などを一から作り、学級委員に度重なるメール配信への協力を呼び掛けた。浅野さんは「保護者が会場に足を運ぶ負担は減り、参加しやすい形が作れた。来年度以降も活用したい」と話す。

東京都文京区立根津小学校PTA会長の浅野由美子さん

会費減額したPTAも5割超

 東京都小学校PTA協議会が6月、都内の公立小学校を対象に行ったアンケートには、208校が回答。総会を開催済み・開催予定だった122校のうち、会場開催したのは約1割で、アンケートフォームやメールなどを利用したところが大半だった。その他の活動についても、158校が「新しい取り組みをした」とし、そのうちの6割が役員会などにオンライン会議を導入。会費が決まっている176校のうち、昨年度と比べて減額したPTAも5割を超えた。

 同協議会常務理事の増田光子さんは「コロナ禍をPTA活動の見直しのチャンスと捉えるという意見もあった」と説明する。半面、学校のネット環境を使えなかったり、メールの連絡体制が整っていなかったりという課題も。「ITに強い人がいないと対応が遅れる」との声があり、同協議会は8月、都内PTAを対象にオンライン会議の開き方を学ぶセミナーを開いた。

保護者向け講座は中止に

 名古屋市立小中学校PTA協議会は「集まれないので総会が開けない」との声を受け、あらかじめ会員に資料を配って表決書を回収する紙面審議を提案。4月から必要書類の作成例を公式サイトで紹介している。

 ただ、中止になったPTA行事も多い。その一つが、食育やマネー教育など子育てに役立つ保護者向け講座「家庭教育学級」だ。セミナー講師を紹介する一般社団法人「ファミリード」(東京)代表の星谷みよ子さん(52)は「コロナ禍だからこそ、『子どもをより良く育てるために親が学ぶ』というPTA本来の趣旨に立ち返る必要がある」と強調。オンラインも含めて講座を継続、再開する可能性を探ってほしいと望む。

ファミリード代表の星谷みよ子さん(右)と、副代表の亀谷さおりさん

 コロナ禍の収束が見通せない中、各PTAで活動見直しの動きが加速している。星谷さんは「まずは、子どもや学校・地域にとって、必要な活動は何かを見定めることが大事」と指摘。「事務的な手間を減らしつつ、必要な活動を実施していけるように、利用できるものは取り入れて」と提案する。

コメント

  • とある小学校にて会長をしております、PTA問題の根底は深く感じていて、そもそも市町村PTAから末端の各学校PTAの中には色々な方々が居て、まだまだやりたい思う側と、面倒だと思う側とのバランスで、やりた
    会長 男性 40代 
  • 集まれないからLINEばかりの役員連絡。例年通りの活動じゃないから、特に1学期は気がつけば未読メールが2、30件以上ザラにありました。仕事もしているので帰宅後のメール負担がとんでもなかったです。子供に