滝乃川学園が来年で創立130年 日本初、知的障害児のための福祉施設 歴史を振り返る企画展
竹谷直子 (2020年11月10日付 東京新聞朝刊)
日本で最初の知的障害児者のための福祉施設「滝乃川学園」=東京都国立市=が2021年に創立130周年を迎える。これを前に、学園の歩みを紹介する企画展が同市の「くにたち郷土文化館」で開かれている。学園創設者らが知的障害児者に対する教育を確立するまでの軌跡を展示した。
社会事業家・石井亮一が設立
滝乃川学園は、社会事業家の石井亮一(1867~1937年)が設立した。1891年の濃尾地震によって孤児になった女児が誘拐され、遊郭などに売られる犯罪が横行したことを受け、同学園の前身「孤女学院」をつくった。
亮一はそこで知的障害のある女児に出会ったことをきっかけに、知的障害者教育に関心を抱く。
知的障害のある子どもがいた筆子(1861~1944年)と結婚し、ともに知的障害者福祉に尽力した。当時、知的障害者に対する教育は確立しておらず、亮一は渡米して研究するなど日本の障害児教育に貢献した。
写真60点と関連資料を展示
企画展では、学園創設前から2009年までの歴史を写真を中心に紹介。学習風景や農作業、運動会などの写真約60点と関連資料を展示した。
学園が1920年に全焼した際に、宮内省から受け取った奨励金の書状も見ることができる。
くにたち郷土文化館の学芸員竹内竜巳さんは「困難を乗り越え、今なお歩みを進めている滝乃川学園の軌跡を見てほしい」と呼び掛けている。
12月13日まで。観覧無料。
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