祖父母の援助は110万円以上で課税対象 教育資金なら特例で非課税に〈どんぶり一家のマネー術〉
上限1500万円 コロナに配慮し延長へ
財子 今日は夫が陽子さんに聞きたいことがあるそうです。
経男 実は両親から、子どもたちの教育費を援助してもらえるかもしれません。注意点はありますか?
陽子 年間の贈与額が110万円を超えると、贈与税がかかりますよ。
経男 それなら課税の心配はなさそうかな。何年かに分けてもらってもいいんですよね。
陽子 大丈夫です。ただ、毎年同じ時期に同じ額の振り込みなどがあると、定期的な贈与とみなされ、後から課税される場合もあるので注意してください。
財子 教育資金として父親から何百万円という高額を受け取ったという知人もいますが…。
陽子 教育資金贈与の特例制度を使ったのかもしれませんね。使い道が教育費で、贈与を受ける1人あたり1500万円までなら、一括贈与でも非課税となる制度です。新型コロナの影響で、経済状況が悪化していることに配慮し、来年3月末までだった期限も延長される方向です。
経済格差が教育格差を固定化させる恐れ
財子 教育費の見通しが立つのは助かりますね。
陽子 同じように、結婚式や不妊治療、保育の費用などを対象とした特例もあります。いずれも、比較的余裕のある高齢世帯から若年層への資金移転が目的ですが、相続税対策として使われることが多いです。
経男 教育資金の贈与は、塾代や留学費用まで対象なんですね。経済的に恵まれた家庭がさらに優遇されているような気もします。経済格差が教育格差となり、格差が固定化しそうです。
財子 確かに。うちは留学費用までの援助は望めないよね。
陽子 留学は今、コロナの影響で難しい状況ですが、税太くん、貨保ちゃんがどうしても海外で学びたいと望む可能性もありますよね。国が若者の留学を後押ししようと、民間企業の協力を得て進めている支援制度「トビタテ! 留学JAPAN」など、審査に通れば返済不要の給付型奨学金もあります。行き先によっては、そこまで高額にならないことも。コロナ収束と本人の強い意志があれば、チャンスはありますよ。
監修・八木陽子
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体「キッズ・マネー・ステーション」を設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う「株式会社イー・カンパニー」を設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。
※次回の掲載は1月8日です。
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