「女子は数学や理科が苦手」の偏見なくそう 「女子なのにすごい」はNGです! 内閣府が教員用に啓発冊子
増井のぞみ (2021年6月22日付 東京新聞夕刊)
「女子は数学や理科ができない」。そんな無意識の思い込みや偏見(アンコンシャス・バイアス)を払しょくしようと、内閣府は初めて、学校の先生たちに向けた啓発冊子を作った。文部科学省は21日、都道府県教育委員会に事務連絡を出し、教員研修の参考としてこの冊子を周知した。
「女子は記録」役割分担が学習意欲の壁に
改善を求める事例の1つが、先生が、理科の授業で実験の操作は男子、記録は女子という生徒間の自然とできた役割分担に任せていること(上のイラスト参照)。冊子では先生が無意識であっても、この状態を黙認することで「男子中心の授業運営となった結果、女子は学習意欲を高めにくくなってしまう」と指摘している。
テストの点数の良かった女子生徒に「女子なのに数学や理科ができて、すごいね」とほめ言葉をかけることは「好意的性差別発言」と問題視。生徒個人をほめるのではなく、女子なのにといった属性に基づいて評価することで「声かけをされた女子生徒は、その教科に対する意欲を低下させることが研究から分かっている」としている。
他国より低い、技術系の女性研究者の割合
冊子は「男女共同参画の視点を取り込んだ理数系教科の授業づくり~中学校を中心として~」。冊子によると、日本の女子は15歳時点で科学や数学の得点が男子と同等もしくは低いが、諸外国の男女よりも高い。一方で、科学技術分野の女性研究者の割合は16.9%で英米仏独や韓国よりも低い。
内閣府の担当者は「教師や親など周りの大人が無意識の思い込みにまず気付くことが大事」と語る。冊子作成に助言した稲田結美・日本体育大教授(理科教育学)は「実験は男女別グループで行ったり、操作と記録を交代したりするなど男女で役割を固定化しないことが、男女双方の理科への関心を高め、選択できる進路の幅を広げられる」と話す。
冊子は内閣府のサイトで公開されている。
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教職員の意識を変えるために啓発冊子が作られたということはよいことだと思います。しかし、男女双方の理科への関心を高めるために「実験を男女別グループで行う」ことが良い方法とされるのはおかしいと思います。女子だけのグループなら女子が操作できるであろうという考えが安易ですし、そもそも分ける必要のないところで男女で分けることで苦しい思いをする子どもがいるということが忘れられています。性自認に係る対応という観点から、性別でグループを分けるのではなく、どのようなグループでも役割を交代したり全員が操作できる環境を整えたりすることが大事だと考えます。
うーん、そもそもどこからそういう論理が出てきているのかわからないけれど、たしかに高校生の時に理系の大学を受験する者は圧倒的に男子が多かった事実はあります。
いっぽうでね、逆に圧倒的に女子ばかりで男子が少ない、というか、男子が苦手にしている人の多い科目があります。それはズバリ「音楽」です。
部活の合唱部とか吹奏楽部とか、子供たちの合唱コンクールとか演奏会とかよく行くのですが、とにかく男の子が少ないのです。これは1割にも達していないと思います(名のある大学の混声合唱団などでは女子部員の確保に苦労しているのですがそれは全体的に女子の比率が少ない大学だから)。本当に、政治家や管理職の女子の比率にも遠く及ばないくらい音楽男子が少ないのです。こっちのほうもちょっと何とかならないかと。ここは数学や理科の問題をあげているところで音楽は違うだろうとか言われるかもしれませんが、いや、ついでにでも考えていただきたいと思います。機会があれば。