「まん防」でも中学校が2泊3日のスキー教室 引率して「ストレスだらけ」教員から疑問の声
安藤恭子 (2022年2月2日付 東京新聞朝刊)
川崎市立中学校の1年生が参加する2泊3日の自然教室を巡り、引率を終えた市立中の教員から「先生はストレスだらけだったと思う。無理して強行する教育的意義があるのでしょうか」と、市内の教職員団体を通じて本紙に声が寄せられた。まん延防止等重点措置下の県内で、宿泊行事の実施判断は自治体によって異なる。自然教室から帰った生徒に新型コロナウイルスの陽性が判明した事例も起きているという。
川崎の市立中「延期すべきと思った」
市立中の自然教室は「八ケ岳少年自然の家」(長野県)で1〜3月、冬のスキー教室として実施。1日現在、実施予定の48校のうち開催中も含め20校が実施済みで、中止か延期かを検討している学校が1校、これから行う予定の中学校が27校ある。
教員の話によると、マスクを外す必要がある入浴や食事の際は一言も話をさせないよう指導をしたが、入浴時には興奮し、声を発する生徒がいた。体調を崩す生徒も複数いた。教員は「子どもたちの表情も疲れていたため、できるだけ笑顔で声掛けするよう心掛けた。延期すべきだと思っていた」と振り返った。
帰宅後に陽性が判明したケースも
川崎市教育委員会によると、自然教室から帰った後で生徒が体調不良を訴え、陽性と判明した事例が2校あった。自然教室の実施を巡っては、SNS上でも「難しい問題」「必要以上に神経をとがらせなくても」「中止しようよ」とさまざまな意見が上がっている。
教員の話を聞いた「川崎市教職員連絡会」の大前博事務局次長は「子どもたちには多様な体験をさせてあげたいという思いもある。ただ、今のオミクロン株の広がりやすさを考えれば、市教委には子どもの命と健康を守る施策を優先させてほしい」と話している。
自治体で分かれる判断 横浜市では
まん延防止措置下で、学校の宿泊行事を実施するか否かの判断は自治体によって分かれている。
神奈川県教委は「中止または延期」の方針を打ち出し、沖縄行きなどを予定していた県立高を中心に、約30校の修学旅行が見送られた。
横浜市教委も期間中、宿泊行事や県をまたぐ校外学習は、中止や延期を市立学校に求めている。相模原市教委は2月後半以降、7つの小中学校が日光や京都への修学旅行を予定する。担当者は「国や県の動向、その時の感染状況を踏まえて判断したい」としている。
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