映画「夢みる小学校」公開 尾木直樹さんがトークショー「子どもが主役で未来を予見している」
奥野斐 (2022年2月5日付 東京新聞朝刊)
宿題やテストもなく、子どもの主体性や個性を尊重した教育を実践する学校法人「きのくに子どもの村学園」(和歌山県橋本市)が運営する私立学校に密着したドキュメンタリー映画「夢みる小学校」の上映が4日、都内のミニシアター「シネスイッチ銀座」などで始まった。上映後には映画にも出演する教育評論家尾木直樹さんとオオタヴィン監督のトークショーがあった。
体験学習が主 授業は「プロジェクト」
映画は山梨県南アルプス市にあり、法人が運営する「南アルプス子どもの村小学校」などの子どもたちを追っている。授業の大半が「プロジェクト」と呼ばれる木工や料理、農業などの活動で、原材料から育てたり遊具を造ったりする姿が映し出される。
学園ホームページによると、「感情、知性、人間関係のいずれの面でも自由な子どもに育ってほしい」との願いから、基本方針の1つに「体験学習の原則」を掲げている。体験が学習の中心で、読み書き算などの基礎は体験の中で習得するという。1992年に橋本市に学園の小学校が開校してから30年、各地で体験学習を実践している。
通知表や定期テストがない公立学校も
トークショーで、尾木さんは学校のあり方について「子どもたちが主役で未来を予見している」と感想を述べ、「文部科学省も『主体的・対話的で深い学び』を重視し、切り替えようとしている」と紹介した。
映画では通知表がない長野県伊那市立伊那小、校則や定期テストをやめた世田谷区立桜丘中など公立学校も登場。「校長先生は変えられます。映画を先生たちに見てほしい」と訴えた。
オオタ監督は「通知表をなくせるのはびっくりしたが、通知表があっても(子どもの)ダメなところではなく、できたことを伸ばしていく」のが大切だと語った。
アップリンク吉祥寺でも上映。両会場で日にちにより映画出演者らのトークショーもある。「夢みる小学校」の公式サイトで日程を紹介している。
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