卒業式「コロナ禍で歌えないなら手話で校歌を」草加の小学校、聴覚障害者や手話通訳者が協力
大沢令 (2022年3月25日付 東京新聞朝刊)
「コロナ禍で歌えないなら手話で校歌を」―。そんな願いが、巣立ちの日にかなった。埼玉県草加市立清門小学校(鈴木英治校長)の卒業式で24日、6年生の185人が手話で校歌を披露した。学校から相談を受けた聴覚障害者や手話通訳者らが、卒業の思い出作りに全面的に協力した。
昨年は音源を流すだけだったが
保護者や教職員が見守る中、卒業生たちは校歌の音源に合わせ、マスクを着けたまま歌詞に合わせて手話を披露。昨年の卒業式では感染防止のため校歌の1番を流すだけだったが、今年は3番まですべての歌詞をそろって手話で表した。
一昨年から続くコロナ禍で、同校でも音楽の授業は合唱が制限されていた。小林和美教頭は「校歌を手話で表現できないか」と昨年4月、草加市社会福祉協議会に相談。聴覚障害者協会やボランティア団体「手話友の会」のメンバーが話し合いを重ねた。
メンバーらは、歌詞の意味を考えながら、情景が目に浮かぶ表現やリズムへの乗せ方にこだわって手話を決め、昨年8月下旬に手本となる動画を完成させた。
歌詞の意味、あらためて考えた
学校では緊急事態宣言でオンライン授業などになり、まとまった練習の機会が限られる中、6年生のみならず全学年の児童がクラスや家庭で動画を見て手話を学んだ。
今月15日、聴覚障害者協会の飯田勝巳さん(66)らが学校に招かれ、児童の代表の6年生4人と初めて対面。児童たちが手話の校歌を披露すると「コロナ禍でなければ直接教えたかったが、かわいらしくて感動した」と喜んだ。代表の一人、宮村海李(かいり)さん(12)は「手話に興味をもつことができた」と感謝を伝えた。
卒業式を見届けた小林教頭は「手話で表現される歌詞の意味をあらためて考え、自分たちの校歌と向き合った子も多かった」と手応えを語った。
1
なるほど!
9
グッときた
1
もやもや...
1
もっと
知りたい