川崎市に広がる「寺子屋」 学習支援から子どもの居場所、世代間交流の場に発展
分からない課題はマンツーマンで指導
宮崎中の寺子屋は1、2年生向けで、生徒7人と「寺子屋先生」2人でスタートした。簡単な自己紹介の後、先生が見守る中、子どもたちは学校から出された課題のプリントを黙々とこなした。分からないところなどあれば、寺子屋先生がマンツーマンで指導する。
中2の女子生徒(14)は「家だとあまり集中できない。学校の近くにこういう所があると助かる。外に出ると、違う自分になれる」と開講を喜んだ。同中の寺子屋は毎週水曜日午後6時半からだが「回数をもっと増やしてくれると、ありがたい」とも。中1の男子生徒(12)も「ここだと、いい雰囲気の中で勉強に集中できる」と話した。
寺子屋先生の大人も「学ぶことが多い」
一方、寺子屋先生となった元会社員の山崎正継さん(60)も「一緒に学んでいければ」と交流を楽しんだ。教職の経験はなく「中学生に教えることなどできるのだろうか」と不安があったというが、実際に参加して子どもたちに頼りにされ、「こちら(大人)も学ぶことが多いと確信した」。続ける意思を固めたという。
川崎市教育委員会によると、寺子屋事業は2014年度に開始。市教委と学校が協力し、運営は市教委の委託を受けたNPO法人など地域の各種市民団体が担う。平日の放課後に開く寺子屋が多いが、学年や内容は地域で異なり、地域の企業や大学が講師を派遣し、週末に料理やスポーツを体験する寺子屋もある。
先生とコーディネーターの養成講座も
寺子屋先生にも絶対条件はなく、高校生や大学生が担うケースもある。「当初は学習支援が主目的だったが、核家族化が進む中、子どもの居場所づくりと世代間交流の場としての機能が、徐々に大きくなってきた」と担当者は説明する。
川崎市教委では2025年度末をめどに全小中学校での寺子屋開設を目指し、寺子屋先生やコーディネーターの養成講座受講者を募集している。問い合わせは、川崎市教委地域教育推進課=電話044(200)3565=で受け付けている。
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