川崎市に広がる「寺子屋」 学習支援から子どもの居場所、世代間交流の場に発展

渡部穣 (2022年10月22日付 東京新聞朝刊)

川崎市立宮崎中学校の生徒向けに新たに開講した「寺子屋」の様子=高津区で

 川崎市宮前区の宮崎中学校の生徒向け学習支援教室「寺子屋」が19日、高津区の梶ケ谷こども文化センターに新たに開講した。子どもの学習支援や居場所づくりとして、市が全小中学校計165校への設置を目指す「地域の寺子屋事業」の一環。宮崎中は市内80校目といい、市内の約半数の学校に地域のニーズに応じた寺子屋が広がっている。

分からない課題はマンツーマンで指導

 宮崎中の寺子屋は1、2年生向けで、生徒7人と「寺子屋先生」2人でスタートした。簡単な自己紹介の後、先生が見守る中、子どもたちは学校から出された課題のプリントを黙々とこなした。分からないところなどあれば、寺子屋先生がマンツーマンで指導する。

 中2の女子生徒(14)は「家だとあまり集中できない。学校の近くにこういう所があると助かる。外に出ると、違う自分になれる」と開講を喜んだ。同中の寺子屋は毎週水曜日午後6時半からだが「回数をもっと増やしてくれると、ありがたい」とも。中1の男子生徒(12)も「ここだと、いい雰囲気の中で勉強に集中できる」と話した。

寺子屋先生の大人も「学ぶことが多い」

 一方、寺子屋先生となった元会社員の山崎正継さん(60)も「一緒に学んでいければ」と交流を楽しんだ。教職の経験はなく「中学生に教えることなどできるのだろうか」と不安があったというが、実際に参加して子どもたちに頼りにされ、「こちら(大人)も学ぶことが多いと確信した」。続ける意思を固めたという。

 川崎市教育委員会によると、寺子屋事業は2014年度に開始。市教委と学校が協力し、運営は市教委の委託を受けたNPO法人など地域の各種市民団体が担う。平日の放課後に開く寺子屋が多いが、学年や内容は地域で異なり、地域の企業や大学が講師を派遣し、週末に料理やスポーツを体験する寺子屋もある。

先生とコーディネーターの養成講座も

 寺子屋先生にも絶対条件はなく、高校生や大学生が担うケースもある。「当初は学習支援が主目的だったが、核家族化が進む中、子どもの居場所づくりと世代間交流の場としての機能が、徐々に大きくなってきた」と担当者は説明する。

 川崎市教委では2025年度末をめどに全小中学校での寺子屋開設を目指し、寺子屋先生やコーディネーターの養成講座受講者を募集している。問い合わせは、川崎市教委地域教育推進課=電話044(200)3565=で受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年10月22日

コメント

  • 規制を撤廃して、様々な形態の学校を増やして頂きたい。ステレオタイプに「1クラス40人で、担任が居て、部活動で青春して、修学旅行で思いで作りして、...」のような高校ばかりだから不登校が増えるのでは?記
    教師のバント 男性 50代