茨城県立中・中等教育学校は「男女半々」募集枠を維持 ジェンダー平等の観点から疑問「入試は学力で測るもの」
2008年度の学校設置の際に…
茨城県立中学校・中等教育学校は計13校で、中高一貫教育を実施している。中学校は高校の付属校として高校からの入学者を受け入れる一方、中等教育学校は完全な中高一貫だ。
入学者選抜実施要項によると、例えば水戸一高付属中の募集定員は80人で、「男女40人程度」とかっこ書きで併記。全校で男女がほぼ同数になるようにしている。出願受付期間は12月1~5日。試験は来年1月7日に行う。
募集枠を設定した経緯について、県教委高校教育課の十文字富美絵管理主事は「2008年度に中等教育学校を設置する際、学識者らでつくる協議会の中で、男女同数が望ましいとの意見が大勢を占めたため」と話す。市町村立の中学校がほぼ男女半々になっていることや、中学生という発達段階を踏まえたという。
神奈川や長野は22年度から撤廃
一方、県立高校は「義務教育ではない」として男女別の募集枠を設けていないが、水戸二高や日立二高のように女子のみが在籍する事実上の女子校もある。
性別にかかわらず平等に権利や機会を分かち合う「ジェンダー平等」の考え方から、都道府県立中学校・中等教育学校の男女別募集枠は取り払われつつある。東京都や千葉県などが維持する一方、神奈川県や長野県などは2022年度から撤廃に踏み切った。
「入試選抜は学力で測るもの」
佐賀県は2022年度の入学生から、それまで男女同数としていた募集枠をなくした。県立中は4校あり、定員はいずれも120人。撤廃後の入学者は4校とも女子の方が多くなっているが、県教委教育振興課の担当者は「支障が生じているという報告は受けていない。現在は『男子だけ』『女子だけ』という活動はなくなっている」と語る。
ジェンダー問題に詳しい日本女性学習財団の村松泰子理事長は「入試の選抜は学力で測るもの。男女という別の基準が入ってくるのはおかしいのではないか」と述べ、茨城県の方針に疑問を投げかける。
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