いじめ被害者のための「調査委員会ガイドブック」を作ろう 遺族らの団体がクラウドファンディング

北條香子 (2023年5月26日付 東京新聞朝刊)

ガイドブック作成の一部資金をクラウドファンディングで募るウェブサイト「READYFOR」の画面

 川崎市多摩区の市立中学3年生だった篠原真矢(まさや)さん=当時(14)=がいじめ自殺で亡くなった事件は6月で13年がたつ。父親の宏明さん(58)が理事を務める一般社団法人「ここから未来」は、いじめや教員による指導死など学校で起きた事件や事故の調査委員会に関するガイドブックの作成を目指し、クラウドファンディングで資金の一部を募り始めた。「被害者や遺族が、課題に立ち向かう際の虎の巻に」と願う。

被害者側が委員を推薦することも可能

 真矢さんは2010年6月7日、友人をいじめから守れなかったと悔やむ遺書を残して亡くなった。事件後の調査は川崎市教育委員会が中心に行い、いじめを認定する報告書をまとめた。篠原さんは「当時の担当者が真矢に寄り添って調査をしてくれたからこそ救われた」と振り返る。

篠原真矢さんの遺影を手に思いを語り合う宏明さん(左)、真紀さん夫妻=川崎市麻生区で(2022年)

 一方、2013年に施行されたいじめ防止対策推進法では、内部調査では不十分に終わることが多いとして第三者委員会による調査が推奨されるようになった。だが、いじめや学校事故などの調査や研究に取り組むここから未来には「調査委員会を作ってもらえない」「委員会はできたが、きちんとした調査をしてもらえなかった」などの相談が寄せられているという。

 篠原さんは「被害者や遺族の『調べてもらえる』という期待をないがしろにしないでほしい」と憤る。被害者側が委員を推薦することも可能だが、あまり知られていない。メンバーの中で生まれた「調査委の問題点に対し、被害者や遺族が立ち向かう虎の巻がない」との問題意識から、ならば自分たちでガイドブックを作ろうと決まったという。

調査委経験ある武田さち子さんが執筆

 仮のタイトルを「被害者のための調査委員会ガイドブック」とし、ここから未来理事で、複数の調査委に委員として参加した経験がある武田さち子さんが執筆を手がける。30ページ超でフルカラーを計画し、9月の発送を目指す。500部を印刷し、希望する被害者らに無償で配布するという。

 篠原さんは「いじめなどの被害にあい、混乱の中にある人たちに一筋の光となるアドバイスになれば」と話す。クラウドファンディングは6月24日までで、ガイドブック作成の一部資金として50万円のゴールを目指す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年5月26日

コメント

  • 元被害者本人です。 タンポポ様お話は「被害者が制裁を受ける例」… 全責任を被害者が負えば他者は安泰ということでしょう。 自分の話で恐縮ですが私の時も結局はそうだったのでしょう(学校の対応は
    hsp-rp 男性 無回答 
  • 元教員として、たんぽぽ氏のご指摘は忸怩たる思いで赤面の至りであるが、現場を知るものとして事態を改善するための提案をしてみよう。 まず、いじめは学校関係者は解決できない問題である(学校関係者「だけ
    キガネムシ 男性 50代