集団登校に間に合うか、毎朝ハラハラ〈古泉智浩さんの子育て日記〉57 

(2024年10月30日付 東京新聞朝刊)
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公園で遊ぶぽんこちゃん

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なんでこうなる朝のルーティン 

 「学校行きたくない」。朝、小1のぽんこちゃんの口からこの言葉が出ないよう、細心の注意を払っています。それでも、ちょっとしたことでへそを曲げて怒り出し、この言葉を言い放ってドアをバン!と閉め、リビングを出て行ってしまいます。そうなったら、なだめても逆効果。ますます怒り狂います。最初はこちらも「遅刻なんてダメに決まってるでしょう」などと叱りつけていましたが、効果がないどころか事態を悪化させるだけだと分かり、今は放置です。そうすると10分か長ければ20分くらいで「ごめんなさ~い」としおらしくリビングに戻ってきます。

 こちらも「ごめんね、靴下履いて学校行こうね」と言いながら、どこかでまた地雷を踏まないかと、靴を履いて玄関を出るまでハラハラし通しです。外に出ても、もう集団登校には遅れているので、学校まで手をつないで送ります。「学校に行きたくないって言ってもさ、そういうわけにいかないんだから、遅刻しないでいこうよ」「わかった」。落ち着いていれば素直なのです。先週はこんな調子で集団登校に間に合ったのは1回だけです。リビングのドアは、ぽんこちゃんが怒りを表明する道具として力いっぱい閉じるので、建て付けがおかしくなってきています。

きょうだいそろって悠々と遅刻

 夏休み前までは、まだわけが分からず促されるまま集団登校の時間に間に合っていました。9月から急に、学校に行かない選択肢もあると思ったのか「学校行きたくない」と言うようになりました。言ったところで一度も休ませてはいません。学校なんて僕も大嫌いで、毎日登校が憂鬱(ゆううつ)でした。気持ちは大いに分かります。しかし、登校するリズムをつくるには、今が踏ん張り時です。いじめや体調に不調が生じるほどのストレスがある場合以外は、学校に行ってほしいです。

 朝、ぽんこちゃんがへそを曲げるきっかけは本当にささいなことです。僕が宿題をやったのかと確認する、顔を洗う前に洋服を着たせいで顔を洗って服がぬれる、僕の名札のつけ方、黄色い帽子のかぶせ方などどうでもいいことで、単なる難癖です。そんなことにいちいち気を配り、へそが曲がらないように「ああ~ごめんね」などと下手に出ています。兄のうーちゃんも、小4の今でも遅刻をなんとも思わないようで、平気で遅れて行きます。2人で遅れずに集団登校できる日は来るのでしょうか。

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)

 漫画家。養子の10歳男児うーちゃんと、6歳女児ぽんこちゃんを育てる。

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